若い地球と進化論

地球の歴史や人間の起源について考えるブログ

コロナウィルス:聖書の視点から

2020年1月に始まった、日本におけるCOVID‐19、通称コロナウィルス感染。

ウィルスが変異を重ね、現在のオミクロン株になり感染者は増えていますが、重症化する割合が減り、日本政府の対応や国民の意識も変わってきたように思います。

 

聖書には、唯一の創造主である神が天地万物を創造したと書かれており、ウィルスも例外ではありません。聖書の視点では、コロナウィルスをどう理解すればいいのでしょうか。今から2年前、CMI(Creation Minisitries International)というクリスチャンの創造論伝道の団体が作成したビデオを紹介します。

ロバート・カーター氏(Robert Carter)は、生物学者ですが、ウィルスは本来良いもので人間に有益であるが、種を超えて感染すると病原性を発揮する。しかし、の病原性は、突然変異を繰り返すことによって弱毒化すると述べています。

 

創造におけるコロナウイルス - creation.com

カーター氏の考え方は、自身の研究(下記参照)すなわち、1918年のスペイン風邪を引き起こしたインフルエンザウィルス(いわゆるH1N1)が突然変異を繰り返した結果、2009年、ついに自然消滅した、という観察結果に基づいています。

A new look at an old virus: patterns of mutation accumulation in the human H1N1 influenza virus since 1918 「古いウィルスを新しい視点でみる~H1N1インフルエンザウィルスの突然変異の蓄積から~」

 

カーター氏によれば、突然変異は新たな適応を獲得する場合もあるが、多くの突然変異は適応力をもたないため、自然消滅してしまうのだそうです。

軽症化するコロナウィルス感染の現状をみると、2年前にカーター氏の言っていた通りのことが起きており、非常に説得力があります。ワクチン開発前のパンデミック中に、このように発言するのは非常に勇気がいったことでしょう。

 

進化論では、生き残りの原動力とされている突然変異ですが、実際の観察結果によれば、突然変異はむしろ消滅を運命づけられているように思われます。是非、ごらんください。

人類・人種の起源(ビデオ)

大変ご無沙汰しております。

2021年も残すところあとわずかとなりました。

今年は忙しくて記事が書けなかったのですが、敬愛する友人の安井亨さんのご講演がとてもおもしろかったので、こちらでシェアしたいと思います。

是非、最後までご覧ください。

 

www.youtube.com

虫垂は無用の長物?~痕跡器官と進化の証拠~

久々の更新です。今年も残すところあとわずかとなりました。

 

「昔、盲腸をやりました」という人をご存じの方も多いと思います。正しくは「虫垂(ちゅうすい)が炎症を起こしたため、急性虫垂炎となり、手術によって「虫垂」を切除しました」ということを意味しています。盲腸と虫垂はつながってはいますが、異なる臓器です。

かつて、虫垂は有用であったが、今では役に立たない無用の臓器であるから、手術で取っても構わない、と考えられていた時代もありました。また、人間の虫垂は進化の証拠、いわゆる「痕跡器官」である、と信じている方もおられるようです。

今回は「虫垂」を例に、①虫垂は本当に無用の長物(ちょうぶつ)なのか、痕跡器官は進化の証拠なのか、について考えてみたいと思います。

 

 

1.虫垂は無用の長物なのか?

 

【虫垂は腸の一部】

腸というと一般的に小腸と大腸のことを指します。小腸は胃と大腸をつなぎ、口に近い方から順に「十二指腸、空腸、回腸」と呼ばれます。大腸は小腸と肛門をつなぎ、口に近い方から順に「盲腸、結腸、直腸」と呼ばれます。小腸(回腸)は大腸の途中につながるので、大腸の片側は盲端になっており、そのため盲腸という名前がついています。虫垂は盲腸から垂れ下がっている、長さ約5cm、太さ約5mm位のイモムシ型の臓器です(図1参照)。虫が垂れるので虫垂というわけです。虫垂の長さは個人差があって、最長20cm位になる人もいるようです。

 

図1 回腸~盲腸接続部(回盲部)の解剖

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Vermiform Process:虫垂 Cecum:盲腸 Colon:結腸 Ileum:回腸

盲腸 - Wikipedia より

 

虫垂炎とは?】

虫垂炎は、虫垂の入り口が何らかの原因で(例えば糞石など)せまくなり、中で細菌が増殖することで炎症を起こし、虫垂の内圧が高くなって痛みが生じてきます。症状が進むと虫垂が破れ(いわゆる穿孔という状態)、細菌がおなかの中に散らばって腹膜炎を惹き起し、命取りになる場合もあります。

虫垂炎の生涯罹患率(一生の間に虫垂炎になる確率)は10%程度と言われ、入院が必要な腹痛の代表的な疾患です。画像診断が発達する前は、確定診断がつかず、まずはおなかを開けて中を見てみようと手術になることや、別の手術のついでに虫垂もとってしまったということもあったようです。

その背景には、虫垂は生理的には機能をもたない「痕跡器官」であるため、将来虫垂炎を起こさないように予防的に切除してもよい、という考え方があったことも大きく影響しているでしょう。

しかし、最近では、超音波やCTなど画像診断の進歩、虫垂の役割が詳しくわかってきたたこと、入院費用や手術による合併症、将来腸閉塞になるリスクなどが考慮され、手術ではなく保存的に、つまり抗生物質で治療する(いわゆる、散らすというやつですね)ことも増えてきました。

 

虫垂炎の治療】 

"The New England Journal of Medicine"は、世界で最も権威のある医学雑誌のひとつです。この雑誌の2015年5月のある号に「Acute Appendicitis - Appendectomy or the "Antbiotics First" Strategy (急性虫垂炎-緊急手術か、まず抗生物質か?)」というタイトルの論文がありました。無料ではみることができませんが、この論文のポイントは以下の5点です。

  • 急性虫垂炎には今でも手術が第一選択である。
  • しかし、最初に抗生物質で治療開始しても、手術と比べ虫垂穿孔をきたすなどの合併症が増えるわけではない。
  • 抗生物質で治療した場合、後々一定の割合で再発し手術となる人もいる。
  • 虫垂は、腸内細菌を正常化させる働きがあると考えられている。
  • 虫垂を切除すると「偽膜性腸炎」という感染症が再発しやすくなる。

 

【虫垂の機能】 

かつては「無用の長物」と揶揄(やゆ)されたことのある「虫垂」ですが、免疫学的に重要な役割を果たすリンパ組織であり、いわゆる善玉菌の貯蔵庫となっていて、腸内細菌を正常に保つ重要な働きがあるという考えかたが主流となってきています。しかし、逆に虫垂を切除した方が、潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患の発症を抑えることができたという報告もあり、虫垂の存在の是非については、まだまだわからないことも多いようです。

医師になりたての研修医であれば、一度は目を通したことのある「レジデントノート」という雑誌に虫垂についての特集がありました。医療関係者、興味のある方は、下記をご一読することをお勧めします。

【第11回 虫垂は無用の長物か?】~レジデントノート2015年8月号より

 

 

2.痕跡器官は進化の証拠なのか?

 

痕跡器官とは?】

痕跡器官」とは何でしょうか。痕跡器官の具体例として、虫垂の他に、尾骨、耳を動かす筋肉、クジラやニシキヘビの後ろ足などについて聞いたことがあるかもしれません。痕跡器官について、Wikipediaには次のように紹介されています。

生物の進化の過程で、ある器官が次第に縮小、単純化してゆくことを退化という。退化が進めば最終的にはその器官が消失してしまうことはまれでない。このような過程で、わずかにその存在が認められるものが痕跡器官だと考えられている。(中略) 痕跡器官の存在は、生きた生物に於いてこの途中を見ることができるものとして、重要な証拠であり得る。

上記では、痕跡器官の存在は進化の証拠である、と述べられていますが、実際のところ、縮小、単純化していく様を誰もこの目で見て確認したことがないので、本当に退化してきたのかどうかはわかりません。つまり痕跡器官とは、進化論が正しいと仮定した時に、ある生物群の進化の道すじを説明するひとつの考え方に過ぎない、ということに注意が必要です。

 

【虫垂が痕跡器官となった背景】

かつて虫垂が痕跡器官だと考えられていた理由は、ウマのような草食動物では、人間と比べ盲腸や虫垂が長くて大きいからだとよく言われています。例として、人間とウサギの消化器系を比べてみましょう(図2参照)。

 

図2 人間とウサギの消化管の比較

 

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 引用元:”Better Late Than Never" 生物学 第2版 第34章 動物の栄養摂取と消化器系 - Japanese translation of “Biology 2e”より 

 

つまり、草食動物は人間より大きな盲腸や虫垂を持っている。草食動物は人間よりも下等な動物である。だから、草食動物では有用だった盲腸や虫垂は、進化の過程で不要になった、つまり痕跡器官だというわけです。けれども人間と草食動物のどちらが進化しているか、比較できるのでしょうか。草食動物の消化管は、一般的に肉食動物の消化管より長いです。これは食物となる草木は消化に時間がかかるからです。食生活が異なれば、生理機能も当然異なるので、全ての違いを進化で説明するのは無理があるように思います。

虫垂が痕跡器官であるという考え方には、まだおかしな点があります。痕跡器官の本来の意味は「進化の過程で縮小、退化してきたもの」ですから、比較するべきモノは(ウサギと人間の)共通祖先の「臓器」と人間の「臓器」であるべきではないでしょうか。図2では、ウサギと人間の盲腸の違いの方がわかりやすいので、盲腸を例に下図に示します(図3参照)。

 

図3 進化論に基づくウサギと人間の進化の道すじ 

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進化論では、ウサギと人間の共通祖先とされるものがいたはずだと信じられていますが、それがどんな生物だったのか、現時点ではわかっておらず、当然化石も特定されていません。もし、今後これが共通祖先ではないか、という化石がみつかったとしても、化石に臓器が残っているはずはないので、比較することはできないでしょう。ある臓器について、祖先と比較することができなければ、痕跡器官の定義自体もおかしなことになってしまいますね。

 

まとめ 

以上述べてきたように、痕跡器官とされてきたものの中に新たな役割が発見され、決して痕跡とは言えないことが明らかになってきました。虫垂以外では、脾臓にも新たな役割が解明されたというニュースがありました(2009年と少し古いですが)。

 

また、ある臓器が痕跡器官であるとする考え方は常に誤解を生んでいます。なぜなら、痕跡器官について比較される生物同士は(ウサギと人間のように)ともに現代に生存しており、進化の道すじにおける祖先と子孫の関係にないという問題があるからです。

 

今年の記事はこれが最後となります。今年もブログを訪れてくださりありがとうございます。不勉強な部分も多々ありますが、来年もわかりやすい記事をお届けしたいと考えています。よろしくお願いいたします。

ヒトとチンパンジー(2)Fusion is Illusion?

1.はじめに

前回に続き、ヒトとチンパンジーについての話題です。進化論では「ヒトとチンパンジーが共通祖先から分かれた」とされており「染色体の融合(詳細は後述)」、つまり、ヒトの2番染色体がチンパンジーの12番、13番染色体を足したものに似ていることがその証拠として挙げられています。一方、融合したとするなら、説明のつかない事実(テロメア問題、セントロメア問題)も観察されており、この問題には、まだ決着がついていません。今回は、染色体の融合説について解説します。

 

2.染色体の融合説 

染色体は細胞の中にあって、遺伝情報を伝達する構造体です。ヒトには23対46本の染色体があり(22対の常染色体と1対の性染色体を含む)、1対の染色体は長いものから順に番号がついています(図1参照)。

 

図1.ヒトの染色体 

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出典:Wikipedia: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Human_male_karyotype.gif

 

他方、チンパンジーには24対48本の染色体があり、ヒトより1対余計にあるのですが、進化論の考え方では、遺伝子配列のパターンが似ていることからチンパンジーの12番、13番染色体が融合し、ヒトの2番染色体ができた」とされているのです。 

進化論を信じている科学者は、ヒトとチンパンジーは共通祖先から進化したと堅く信じているので、チンパンジー12番染色体を2A染色体、13番染色体を2B染色体と呼び、染色体の融合説を疑うことなく、そのまま受け入れています。

けれども「ヒトの2番染色体は、チンパンジーの染色体が融合してできたとは考えられない」という証拠も挙げられています。今回は、それらの証拠のうち、いくつかを紹介したいと思います。

  

3.融合説の問題点

 

3-1 テロメア問題

テロメアとは、染色体の両端にある繰り返しのあるDNA配列です。遺伝情報を持っていませんが、紐がばらばらになるのを防ぐ「ヒモ止め」のような存在として、染色体の物理的、遺伝的な安定性を保つ働きをしています。

 

図2.ヒモ止め 

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もしチンパンジーの染色体が融合したのが本当だとすれば(図3参照)、ヒトの2番染色体の融合したとされる部位には、で示されるように、テロメアの痕跡があるはずですが、 実際はかなり異なっています。

例えば、テロメア塩基配列の反復は、数千塩基に渡るものですが、ヒトの2番染色体の融合したとされる部位には、わずか数百塩基しか存在していません。また、テロメア塩基配列は機能を持っていないはずですが、融合したとされる部位は、遺伝情報を含んでいることがわかりました。

つまり、ヒトの2番染色体は、チンパンジーの12番と13番染色体を足した塩基配列のパターンに似ていたとしても、テロメアが融合した部位に相当する塩基配列は、テロメアにはない特徴を備えているのです。

 

図3.染色体融合のイメージ(赤:テロメア、青:セントロメア)

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出典: https://answersingenesis.org/genetics/dna-similarities/chromosome-tales-and-importance-biblical-worldview/

  

3-2 セントロメア問題

セントロメアは、染色体の長腕と短腕が交差する部位、染色体のほぼ中央に位置しています。テロメアのように反復する塩基配列が存在しており、もし融合したとすれば、ヒトの2番染色体には、図3で示されるように、セントロメア1箇所と、セントロメアの名残をとどめたもう1箇所が存在するはずです。

ところが、元のチンパンジーの染色体からの名残をとどめているとされる配列を調べてみると、セントロメアとされる反復配列は、元の長さのおよそ1/10程度しかなく、また、この配列はセントロメア特有ではなく、全てのヒトの染色体で観察されることがわかりました。さらに、セントロメアとされる塩基配列は、タンパク質をコードする、ANKRD30BLという遺伝子の中に観察されますが、セントロメアは遺伝子の中に含まれることはありません

つまり、ヒト2番染色体の中のチンパンジーセントロメア由来とされる塩基配列は、反復長さ、特異性、機能の点で、およそセントロメアとは異なる特徴を備えていることがわかったのです。

以上のように、テロメアセントロメアの観察事実から言えることは、ヒトの2番染色体は、チンパンジーの2本の染色体が融合してできたのではない可能性が高い、ということです。

  

4.「融合」は進化なのか?

「融合」は進化論にとって、馴染み深く受け入れやすい概念です。例えば、スマートフォンは電話にパソコンの機能が融合したもので、それぞれ単体よりも、はるかに使い勝手が良く、電話が進化したという言い方ができるかもしれません。

けれども、スマートフォンと今回の染色体の融合は次元が異なります。なぜなら、スマートフォンは、電話にパソコンという新しい機能が加わっていますが、チンパンジーの染色体の融合においては、新しい情報は何ら加わっていないからです。

 

5.まとめ

これまで述べたように、ヒトの2番染色体には、チンパンジーの染色体が融合してできたとする説では、科学的に説明できない観察事実、つまりテロメア問題、セントロメア問題が存在します。

染色体の研究は、再現と検証が可能なので実験科学の領域です。融合説は同じ染色体を扱っているので実験科学の延長のようにみえますが、再現も検証もできないので、歴史科学の領域なのです。融合は幻想?と冒頭で紹介した通り、これらは全て、進化論を信じる人たちが造った想像の物語なのです。

ヒトとチンパンジー(1)遺伝子の99%は同じ?

前回までの「恐竜」に代わって、今回は「人間」についての話題です。

 

進化論では、あらゆる生物は木が枝分かれするように共通祖先から進化したと考えられています。人間も例外ではなく、現存する生物の中で最も人間と近縁なのはチンパンジーとされていて、約600万年前に人とチンパンジーの共通祖先から分岐したことになっています。そして、人とチンパンジーの遺伝子の相同性が約99%であることが、この説の証拠であると言われています。

一方、聖書(創世記)によれば、人間は初めから人として造られたと書かれています。初めにアダムが、そしてアダムの体の一部からエバが造られたというわけです。

 

進化論者の中には、聖書に書かれていることは信じていないが、人とチンパンジーの遺伝子の約99%が同じである、という説に異をとなえる科学者もいます。

2007年、かの有名なサイエンス誌にも、Relative Differences: The Myth of 1%(1%の神話)というタイトルで記事が載りました。こちらは全文をみることができないので、アメリカ・ジョージア州アトランタにあるイェークス国立霊長類研究所の科学者による論文を紹介します。

”Human brain evolution: From gene discovery to phenotype discovery(人の脳における進化:遺伝子型でわかること、表現型からわかること)

この論文の「要約(太字部分の6行目以降)」には

It is now clear that the genetic differences between humans and chimpanzees are far more extensive than previously thought; their genomes are not 98% or 99%

”人とチンパンジーの遺伝子の違いは、これまで考えられてきた1~2%の違いではなく、それよりもずっと大きいことが明らかになった”と述べられています。

 

それでは、人とチンパンジーの遺伝子は一体どれくらい似ているのでしょうか?また、99%にこだわる理由は何でしょうか?私は遺伝学の専門家ではありませんが、「遺伝子の相同性」について、3つの視点から考えてみたいと思います。

 

1 遺伝子配列

2003年までに人の全ゲノムが解読されました。ゲノムとはGene(遺伝子)とChromosome(染色体)をかけあわせた造語です。つまり人の染色体に含まれる全遺伝子が解読されたわけです。遺伝子を構成するのがDNAで、DNAは塩基によって、A(アデニン)、G(グアニン)、T(チミン)、C(シトシン)の4種類に分けられます。

遺伝子とは、この塩基配列によって後世に伝えられる情報のことを指しています。全ゲノムが解読されたとは塩基配列がわかったということですが、塩基配列を決定する技術は完全ではなく、まだまだ改善の余地があるとされています。

さて、2つの異なるものを一致させることをアライメント(alignment)、順序のことをシーケンス(sequence)と言いますが、人とチンパンジーと遺伝子の塩基配列の相同性を調べるには、シーケンスアライメントという手法を用います。この時、コンピューターによって人の塩基配列に合うようにチンパンジー塩基配列を並べていくのですが、一致しない配列がでてきます。一つは「置換(substitutions)」、もう一つは「挿入または欠失(indel)」です(下図参照)。

 

図1 シーケンスアラインメント(上が人間、下がチンパンジー)

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出典:"Genomic monkey business" by Creation Ministries International at https://creation.com/human-chimp-dna-similarity-re-evaluated

置換とは、塩基配列の中で、一つの塩基だけが異なるもの(例えば、人ではAなのにチンパンジーではGなど)です。挿入・欠失とは、塩基がどちらかにはあってどちらかにはないもの(例えば、人ではTTGCという配列がチンパンジーでは欠けている)です。

実は、99%の計算根拠に「置換」領域は含まれていますが、「挿入・欠失」領域は含まれていません。つまり分母(総塩基配列)に「挿入・欠失」領域が含まれていないため、みかけ上の相同性は高くなるのです。

 

2 遺伝子表現型

先ほど、遺伝情報は塩基配列によって決まるというお話しをしましたが、正確には、遺伝情報は塩基配列だけで決まるわけではありません。DNAには、エピジェネティックス(epigenetics;Epi=超える+Genetics=遺伝学)と呼ばれる機能があり、塩基配列による遺伝情報を修飾しています。

 

 図2 エピジェネティックスのメカニズム

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出典:"A Scientific Illustration of How Epigenetic Mechanisms Can Affect HealthEpigenetics" by National Institutes of Health at https://commonfund.nih.gov/epigenomics/figure

上図右にある、オレンジ色の五角形エピジェネティック因子(Epigenetic Factor)というものがそれです。簡単に言うと、文章における句読点のような存在です。

 

例えば、A woman without her man is nothing という文があったとします。これがDNA塩基配列に相当します。この文に、句読点を2箇所つけてみます。

A woman, without her man, is nothing ⇒ 男なしでは、女はやってけない

A woman: Without her, man is nothing ⇒ 女なしでは、男はやってけない

 

2つの文は単語が同じ順序に並んでいますが(つまり塩基配列が同じ)、句読点のつけ方によって、全く逆の意味の異なる文章になってしまいました。 これがエピジェネティック因子の働きです。

 

例えば、人とチンパンジーの好中球(白血球の種類)についてみると、DNA塩基配列が同じですが、エピジェネティックスが異なることが知られています。霊長類研究で有名な京都大学霊長類研究所の年報にも、塩基配列の違いはわずか1%強であるが,表現型には大きな違いがあることが報告されています(下記参照)。つまり塩基配列が同じであっても、伝えられる遺伝情報は異なっているのです。

 

3 偽遺伝子

ジャンクDNA(がらくた遺伝子)という言葉はご存じでしょうか。意味をなさない、つまり機能しない遺伝子のことで、かつては、全DNAのうち98%は機能していないと言われていました。しかし、研究が進めば進む程、がらくたと思われていたものが、重要な機能を持っていることがわかってきています。つまり、全ゲノムを解読したと言っても、その機能については、2%程度しかわかっていなかったということです。

ジャンクDNAのうち、過去には機能があったと推測されるが、進化の過程でその機能を失ったものを「偽遺伝子」と呼んでいます。人とチンパンジーに共通した「偽遺伝子」があることが、共通祖先をもつ証拠とされていますが、これらの偽遺伝子に、実は重要な機能が発見されており、偽遺伝子の存在が共通祖先の証拠であるとは言えなくなってきています

 

また、DNAの塩基配列には、エクソンイントロンが存在し、RNAに転写される時に、イントロンが省かれます。人とチンパンジーが最も近縁だとされる理由は、塩基配列が似ているからですが、例えば、ビタミンCに関連するGULO偽遺伝子のエクソンを調べると、エクソンによって、人(Human)と最も近縁である類人猿が異なることが知られています(下図参照)。

 

図3 6つのエクソンによる類人猿との近縁性の違い

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"The Human GULO Pseudogene—Evidence for Evolutionary Discontinuity and Genetic Entropy” by Answers in Genesis available at https://answersingenesis.org/genetics/human-gulo-pseudogene-evidence-evolutionary-discontinuity-and-genetic-entropy/

 

例えば、Exon1をみればゴリラが最も近縁となり、Exon6からはオランウータンが最も近縁な種類となります。もし、チンパンジーが人と最も近い共通祖先から分岐したのが本当であれば、どのExonを調べてもチンパンジーが最も近縁であることが示されるはずですが、実際はそうではありません。

かつて、チンパンジーではなくオランウータンが人間に最も近いというニュースが話題となりましたが、大きなインパクトは残しませんでした。見た目や生活様式が人とあまりに違うので、賛同者が少なったのでしょう。

 

以上のことから何が言えるのでしょう。進化論を正しいと信じているなら、人に最も近いのは、チンパンジーでもオランウータンでもどっちでもいいということになるのかもしれません。けれども、科学的に言えば、遺伝子の分析方法によって結論が異なる、というのは、本来とてもおかしなことです。

異なった分析結果がともに正しいということはありません。どちらかが正しく、どちらかが間違っている、あるいは両方間違っている、のどちらかしかありません。そして、どれが正しいのかを決められないなら、その「分析方法を選んだこと」が間違っているか、あるいは、分析の前提である「人と類人猿は共通祖先から進化したという考え方」が間違っていることになります。

進化論が正しければ、遺伝子を分析することは理にかなっています。だとすれば、分析の前提、つまり、「共通祖先から進化した」という考え方が間違っている、ということになると思います。

 

下記のビデオは、MinuteEarthという団体が作ったビデオですが「99%という数字の信ぴょう性」について解説しています。

”私たち、99%チンパンジーって本当?” 

www.youtube.com

 

このビデオでは、99%という数字の間違いを指摘しながらも、人間がチンパンジーとの共通祖先から進化したことについては否定していません。しかし、遺伝子の違いがあまりに大きければ、一定時間に起きる突然変異の頻度を考えると、共通祖先からの分岐は、600万年前よりはるか昔になります。そうすると進化の時間軸を大きく変更しなければなりません。進化論で遺伝子の相同性99%にこだわるのは、実にそのためなのです。

 

まとめ

・進化論を前提にした遺伝子分析では、人と最も近縁な類人猿を決めることができない。共通祖先から進化した、という進化論の前提が間違っている可能性が高い。

・人と類人猿の遺伝子の違いが大きければ、共通祖先からの分岐は考えられているよりも、はるか昔となる。とすると進化の歴史は大きく書き換えなければならない。

鳥の進化論~恐竜起源説 vs 共通祖先説~

これまで2回にわたり「鳥は恐竜から進化したのでしょうか?」と題して、羽毛恐竜が生まれた歴史的背景や鳥と恐竜の違いについてまとめました。

 

昨今では、鳥は恐竜から進化した(=恐竜起源説)と信じている科学者が多数を占めており、あたかも、それが真実であるかのように喧伝されていますが、同じ進化論の立場であっても、別の考え方を持つ科学者もいます。その考え方とは共通祖先説です。今回は「恐竜起源説」と「共通祖先説」の違いについて、同じ化石をみているのになぜ違いが生まれるのか、その理由に迫ってみたいと思います。

 

参考にしたのは、アラン・フェドゥーシアという鳥類学者による「鳥の起原と進化」という本です。たいていの図書館にはおいてありますので、興味のある方は是非読んでみてください。

 

はじめに、鳥の進化に関する2つの考え方を簡潔にまとめます。

 

1.恐竜起源説(地上跳躍説)

鳥類の恐竜起源説が最初にでたのは、100年以上も前、ダーウィンのブルドック(擁護者、番犬)と言われたトーマス・ハクスレイによってですが、再び脚光を浴びるようになったのは、1964年にジョン・オストロムが、始祖鳥によく似たコエルロサウルス類である、デイノニクス(恐ろしい爪の意)の化石を発見してからです。

映画「ジュラシック・ワールド/炎の王国」にでてくる知恵のある恐竜(人の言葉がわかるみたいですね)は、ヴェロキラプトル(体高約50cm)にちなんで、ラプター猛禽類という意味)”と呼ばれていますが、実は、同じコエルロサウルス類デイノニクス(体高約90cm)がモデルになっているそうです。 

映画「ジュラシック・ワールド」www.youtube.comより

 

恐竜は、骨盤を形成する恥骨の向きによって、鳥類のように恥骨が後ろ向きのものを鳥盤類ステゴサウルス等)、ワニのように前を向いているものを竜盤類といいます。

竜盤類は、草食性の竜脚類アパトサウルス等)と肉食性の獣脚類に分けられ、獣脚類はさら小型のコエルロサウルス類大型のカルノサウルス類ティラノサウルス等)に分けられます。

恐竜起源説によれば、鳥類は、小型の肉食恐竜であるコエルロサウルス類から進化したと考えられています(下図参照)。

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恐竜起源説による鳥の進化系統図

 

恐竜起源説は、地上跳躍説とも言われます。『肉食恐竜が、獲物を追って地上を速く走れるようになり、四足のうち後足は走ることに特化し、前足は獲物を捕えるために使われるようになった。そのうちに跳躍を覚え、獲物を捕える手の動きが羽ばたきとなり、羽毛(特に風切羽)が生えて、飛べるようになった』というものです。

 

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地上跳躍説(Drawing by Mark Hallett)

 

2.共通祖先説(樹上滑空説)

次にもうひとつの考え方、アラン・フェドゥーシアを始め一部の鳥類学者に支持されている「共通祖先説」を紹介します。この説によれば、鳥類も恐竜も「槽歯類(そうしるい)」という共通の祖先から進化したとされています。槽歯類というのは、「ソケットにおさまった歯」を意味し、爬虫類、翼竜類を広く含む分類です(下図参照)。

共通祖先説は、鳥類の祖先は樹上から進化したという考え方です。『樹上生活を営む共通祖先が、樹々を移動するために滑空を覚え、羽毛が発達し、はばたきを覚えるにつれ、飛べるようになった』というものです。「地上跳躍説」に対し「樹上滑空説」と言えるでしょう。

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(鳥と恐竜)共通祖先説による進化系統図

 

上記2つの進化系統図を比べるとわかるように、赤で示されている「鳥類」の位置以外に違いはありません。つまり「鳥の進化のプロセス」についての考え方の違いが、化石の解釈に影響を与え、進化の系統図の違いとなって表れているのです。

 

続いて、2つの考え方の違い、特に竜起源説に対する共通祖先説の反論」について下記にまとめました。

 

1)始祖鳥問題

進化論によれば、始祖鳥はおよそ1億5千万年前に生息していたとされています。しかし、恐竜起源説オストロムによって発見されたデイノニクスは、始祖鳥より4千万年も新しいのです。デイノニクスに代表されるコエルロサウルス類が鳥の起源とするなら、恐竜が鳥へ進化したとされる時期の4千年前に、完全な羽毛をもつ鳥(始祖鳥)が存在していたことになります。

恐竜起源説では、始祖鳥を鳥、あるいは現代の鳥類の直接の祖先であるとは認めたがりません。それは、この時代の逆転が理由のひとつだと考えられます。

また「鳥は恐竜の生き残りである」という主張も、鳥類と恐竜を「恐竜」としてまとめることによって、時代逆転の問題を回避できるからなのかもしれません。

 

一方、鳥の専門家であるフェドューシアは、始祖鳥完全な鳥である、と考えています。その理由のひとつに、始祖鳥の化石にみられる後指(第1指)が完全に後ろを向いており、反対向き(前向き)の3本の前指によって、枝をしっかりつかむことができるからです。

これは現代の鳥と全く同じ構造です。始祖鳥が鳥類の祖先であるなら、木の枝をしっかり掴めたことは、樹上滑空説を支持する証拠と言えるでしょう。

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始祖鳥の想像図(©N.Tamura from Wikimedia Commons)

 

2)2足歩行への進化:上肢/下肢の比率

恐竜の系統進化の過程において、下肢に対する上肢の長さの比率は少しずつ短くなっていることが知られています。

例えば、三畳紀後期(およそ2億年前)のエオラプトル(体長約1m)という原始獣脚類では、後肢に対する前肢(上腕+前腕)の長さの割合50%ですが、 白亜紀後期(およそ9千万年前)のティラノサウルス(体長約12m)では25%程度しかありません。

獣脚類は、4足歩行の恐竜が2足歩行に進化したものと考えられていますが、2足歩行でバランスをとるためには、尾が太く長くなり、前肢が短くなる必要があります。また、人と比べるとわかりますが、体も随分と巨大化していますね(下図参照)。

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(左)エオラプトル骨格(licenced by Creative Commons) (右)人間との比較

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(上)ティラノサウルス骨格(licensed by Creative Commons) (下)人間との比較

 

一方、飛行する脊椎動物は、前肢が長くなる傾向があります。コウモリなどの哺乳類、アホウドリなどの鳥類では、翼開長(翼を広げた長さ)は、体長の2倍以上になります。

飛ぶためには体重を軽くする必要がありますが、その前に推進力を得、速く走るためには、体重だけでなく前肢も短い方が有利です。けれども、短い前肢にいくら羽が生えたところで跳び上がることすらできないでしょう。

また前肢に羽が生えれば、今度は空気抵抗となって推進力維持には不利になり、羽ばたくためには、今度は重い筋肉が必要になってくるのです。

このように、恐竜起源説によると、獣脚類の上肢と下肢の比率と大きさは、進化の過程に逆行しているというわけです。

 

3)羽毛の進化

恐竜起源説では、恐竜が地上から獲物を追って跳躍するために、まず、活動性の高い、内温性(体温を維持できる)動物に進化する必要があります。そのため、うろこから羽毛への進化は飛ぶためではなく、(寒くて獲物が捕れないでは困りますから)素早く動くため、すなわち体温を維持するために起こったと考えられています。鳥の直接の祖先ではない、ティラノサウルスのような大型の肉食恐竜にも羽毛が生えて描かれているのは、おそらくそのためでしょう。はたして、羽毛への進化は本当でしょうか?

 

①羽毛の領域

爬虫類は全身うろこに覆われています(恐竜もそうだったと考えられます)が、全身にくまなく羽が生えた鳥は、実は稀です。むしろ羽は非常に狭い領域にしか生えていません。つまりうろこが羽に進化したという説には無理があるのです。

下に示したのは、スズメのヒナ(巣から落ちて死んでしまったもの)の写真ですが、これを見ると羽毛の領域がわかります。背部には正中に茶色い羽毛がありますが、その両脇に羽毛はありません。一方、腹部では正中に羽毛はありませんが、その両脇には羽毛が生えています。

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スズメの幼鳥(左:背部、右:腹部)

②羽毛の保温性

恐竜起源説では、保温のためとされている羽毛ですが、いわゆる綿毛の状態では雨に濡れると保温効果を失ってしまうことが知られています。例えば、ダチョウのヒナは雨に濡れると体温が下がって死んでしまうため、親鳥が雨に濡れないように守ってやらなければなりません。

 

③羽毛は退化の結果

現代の鳥類で、飛行能力を失った鳥が持つ綿毛は、飛ぶための羽=風切羽等が、二次的に退化したものだと考えられています。ですから、鳥類学者から見ると綿毛から風切羽への進化は、観察される証拠とは真逆であり、恐竜起源説は理屈が通らないということなのでしょう。

 

以上、鳥の進化について2つの考え方とその違いについて紹介しました。今回のポイントをまとめます。

 

  1. 進化のプロセス(地上跳躍説vs樹上滑空説)についての考え方の違いが、進化系統図の違いとなって現れている。
  2. その理由は、進化のプロセスに対する考え方が違うと、同じ化石をみても、その解釈が異なるからである。
  3. つまり、科学者たちは、自分の考え(信念)に合うように、化石(証拠)を解釈する傾向があるといえる。

 

起源の問題を取り扱う古生物学が、科学の分野のひとつであることは疑う余地がありません。けれども古生物学は歴史科学に分類されます。ですから「証拠の解釈」については、個人の「信念=信仰」に影響される、これが古生物学の特徴なのです。

鳥は恐竜から進化したのでしょうか?(2)鳥と恐竜の違い

GWですが・・・新型コロナウィルスの影響で大変な思いをされている方も多いのではないでしょうか。普段何気なく過ごしている日常が、どれほど尊いものかを身に染みて感じています。 

 

さて、前回は羽毛恐竜とその歴史について書きました。恐竜、特に獣脚類の化石に、羽根の前進化段階(プロトタイプ)を示唆する痕跡が見つかり、鳥は恐竜から進化したという説がクローズアップされているというお話しでした。

実は鳥と恐竜の間には、羽根以外にも違いが沢山あります。鳥は恐竜から進化したとするなら、その過程で、羽根以外にどのような違いを乗り越えなけらばならないのでしょうか。今回は、鳥と恐竜の生物学的な違いについて詳しくみていきたいと思います。

 

1)恐竜は恒温動物?変温動物?

恒温動物は、環境温度によらず体温を一定に保つことができますが、変温動物は環境の影響を受けます。鳥類は恒温動物で、体温は哺乳類よりもやや高く41~43℃位です。現存する爬虫類は全て変温動物ですが、恐竜は恒温動物だったという説もないわけではありません。しかし、恐竜には、恒温動物にもみられる特徴、すなわち鼻腔にある鼻甲介という空気をあたためる構造が欠如しており、変温動物であった可能性が高いと考えられます。

 

2)骨に空洞があるのは鳥だけではない

中空の骨は鳥の特徴ですが、哺乳類の頭骨にも副鼻腔という中空構造があります。副鼻腔は、強度を保ちつつ重量を減らし、声の響きにも影響しています。また、ブラキオサウルスなど、首の長い草食恐竜の頸骨にも空洞が発見されており、そのことで容易に首を動かすことができたのだろうと考えられます。もちろん、鳥にとっては、体重を軽くすること、呼吸のしくみに関わることから、中空構造はより重要です。

 

3)鳥に近いのは鳥盤類?それとも竜盤類?

鳥を含む脊椎動物の骨盤は、仙骨、その両側にある腸骨、座骨、恥骨によって形成されます。爬虫類と鳥類の骨盤は異なっていますが、恐竜は、爬虫類型骨盤の「竜盤類」と、鳥型骨盤の「鳥盤類」に分けられます。鳥盤類の恐竜は、ステゴサウルス、トリケラトプス、アンキロサウルスなど4つ脚で背びれや角を持ちユニークな容姿が特徴です。けれども、鳥に進化したと考えられているのは、骨盤が似ている鳥盤類ではなく、ティラノサウルスなどに代表される竜盤類なのです。

 

図1 竜盤類(アロサウルス)と鳥盤類(ステゴサウルス)の骨盤の比較

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Saurischian:竜盤類、Ornithischian:鳥盤類

出典:Encyclopaedia Britannica; https://www.britannica.com/animal/dinosaur/Classification

 

4)鳥の呼吸系は、鳥だけの特徴

鳥は他の脊椎動物と全く異なるしくみで呼吸をしています。高い体温を保ち、飛びながら呼吸するのに非常に良いのです。鳥以外の脊椎動物の肺胞は風船のように膨らみ、吸気と呼気で空気の流れが変わりますが、鳥の肺は膨らまず、代わりに気嚢という袋が膨らみ、吸う時も吐くときも空気が傍気管支内を一方向に流れるしくみになっています。このため、吸気時も呼気時も、酸素を体内に取り込むことができるのです。また、鳥以外の肺は、横隔膜の動きによって収縮しますが、鳥に横隔膜はなく、気嚢は胸骨の動きによって収縮します。鳥は羽ばたくときに胸骨を動かすので、酸素を必要とする動作が呼吸動作につながり、非常に効率が良いのです。

 

図2 鳥類の肺の構造 

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T:気管、L:肺、AS:気嚢、HB:中空の骨構造

出典:Creation.com; Dinosaur to bird theory a flight of fancy - creation.com

 

5)恐竜の呼吸のしくみ

恐竜は爬虫類によく似ています。爬虫類は肺胞の数や肺の表面積が少ないため、哺乳類に比べ、効率ではやや劣っています。肺や横隔膜などの組織は化石化しにくいため、恐竜の肺の構造を知る機会は滅多にありません。けれども、鳥へ進化上の祖先と言われている、獣脚類(竜盤類)の化石に、隔壁をもつ、ふいご状の構造がみつかりました。これは、現在のワニにみられるように、横隔筋によって肝臓を動かし「ふいご」のような呼吸を行っていたことを示唆しています。

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6)鳥と恐竜の支点の違い

鳥の脚は中ほどで膝とは逆、つまり後ろに曲がっているように見えます。実はこれは膝ではなく、踵(かかと)に相当します。体外に見えているのは膝から下で、膝から大腿に相当する骨は体内に密着し外からは見ることができません。鳥は膝を支点に膝下を使って歩行し、恐竜は骨盤を支点に大腿以下を使って歩行します恐竜は太く長く筋肉質な尾を持っており、骨盤(支点)より前にある上半身と重さのバランスをとるのに都合がよいのです。鳥の尾は相対的に軽くできており、もし鳥の支点が骨盤にあったなら、バランスを崩して前のめり、地面をくちばしでつつくことになるでしょう。

 

図3 鳥類の骨格模型(△:支点となる膝)

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Pygostyle:尾骨、Synsacrum:腰仙椎、Femur:大腿骨、Keel:竜骨、Ankle:踵

出典:Answers in GenesisDid Dinosaurs Evolve into Birds? | Answers in Genesis

 

7)鳥と恐竜の尾、どこが違うのか?

絶滅した始祖鳥には、長い骨性の尾が備わっており、そのため、恐竜(獣脚類)に分類されたこともあります。鳥も獣脚類も尾は骨性ですが、構造は随分と違っています。獣脚類の尾はワニのように、椎骨の背側には神経棘(突起)が、腹側には血管棘(突起)があり、側方には靭帯や筋肉が付着していた痕跡があります。長く太い尾でバランスを保つ恐竜には筋肉や血管は必須であったことでしょう。一方、化石で発見される鳥の尾は、もっと簡単な構造です。神経棘や血管棘もなく、筋肉があったとしても、根元にごくわずか、尾を指揮棒のように動かす程度だったと考えられます。

 

8)恐竜が羽根を獲得したわけは?

鳥は恐竜から進化したと信じている人たちは、恐竜には羽根が生えていたと主張しています。その理由として、温血動物になるため、目立つため、飛行能力を獲得するためなどの仮説があります。けれども、単に体温を上げるなら脂肪を増やす方が簡単ですし、ヘビにも奇抜で複雑な色彩を持つものがいます。また、プテロダクティルスなどの翼竜は、コウモリのような被膜を持ち、飛翔能力を備えていましたと言われています。恐竜にとって羽根の必然性はどこにあったのでしょうか。

 

図4 プテロダクティルスの化石標本

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https://en.wikipedia.org/wiki/Pterodactylus

 

9)とても複雑な羽根の構造

鳥類の羽根は、爬虫類のうろこと異なり哺乳類の毛に似ていますが、もっと複雑です。例えば羽根は、羽軸(Rachis)を中心に内弁と外弁に分けられ、内弁と外弁は、羽軸からわかれた羽枝Barb)とそこから分岐した小羽枝(Barbules)によって構成されています。小羽枝(隣の羽枝から分岐した)小羽枝と重なり合い、上の小羽枝のフックと下の小羽枝の突起が、まるでジッパーのように組み合っています(○barbicells:鉤)。また、尾の根元の尾脂腺からは、油性の物質が分泌され、それを嘴でまんべんなく体全体に塗ることで(いわゆる羽づくろい)、水をはじき、雨の中を飛び、水中を自由に潜ることができると考えられています。

 

図5 翼と尾の羽根の比較と羽毛の構造

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rachis:羽軸、barb:羽枝、distal barbules:遠位小羽枝、proximal barbules:近位小羽枝、barbicels:鉤(赤い〇で示されたフック構造)

出典:A Guid to Bird Feathers;  https://www.avianreport.com/bird-feathers/

 

これまでみてきたように、鳥と恐竜には、羽根以外にも多くの違いがあります。もし鳥が恐竜から進化してきたのが本当だとすれば、それらの違いの移行形態を示す(自然選択されたもの、されなかったもの含め)多くの化石が見つかるはずです。しかし、現時点では、羽毛恐竜以外に移行形態は発見されておらず、その羽毛恐竜でさえ化石工場で作られたものがあると指摘されています(▶:鳥は恐竜から進化したのでしょうか?(1)歴史と背景 )。

また、羽毛恐竜には羽毛の痕跡を持つもの現代の鳥と同じ羽根を持つものがありますが、現代の鳥と同じ羽根を持つものについては、学者の間で鳥か恐竜かで分類が一致していません。真の羽根をもつこれらの化石を、鳥類学者は鳥に分類する傾向があり、古生物学者は恐竜に分類する傾向があるのです。この違いを生む大きな理由は、鳥類学者は、恐竜と鳥類は共通祖先から別々に進化したと考えており、古生物学者は、恐竜から鳥へ進化したと考えているからです世界観の違いが、考え方の違いを生むのです