若い地球と進化論

地球の歴史や人間の起源について考えるブログ

鳥の進化論~恐竜起源説 vs 共通祖先説~

これまで2回にわたり「鳥は恐竜から進化したのでしょうか?」と題して、羽毛恐竜が生まれた歴史的背景や鳥と恐竜の違いについてまとめました。

 

昨今では、鳥は恐竜から進化した(=恐竜起源説)と信じている科学者が多数を占めており、あたかも、それが真実であるかのように喧伝されていますが、同じ進化論の立場であっても、別の考え方を持つ科学者もいます。その考え方とは共通祖先説です。今回は「恐竜起源説」と「共通祖先説」の違いについて、同じ化石をみているのになぜ違いが生まれるのか、その理由に迫ってみたいと思います。

 

参考にしたのは、アラン・フェドゥーシアという鳥類学者による「鳥の起原と進化」という本です。たいていの図書館にはおいてありますので、興味のある方は是非読んでみてください。

 

はじめに、鳥の進化に関する2つの考え方を簡潔にまとめます。

 

1.恐竜起源説(地上跳躍説)

鳥類の恐竜起源説が最初にでたのは、100年以上も前、ダーウィンのブルドック(擁護者、番犬)と言われたトーマス・ハクスレイによってですが、再び脚光を浴びるようになったのは、1964年にジョン・オストロムが、始祖鳥によく似たコエルロサウルス類である、デイノニクス(恐ろしい爪の意)の化石を発見してからです。

映画「ジュラシック・ワールド/炎の王国」にでてくる知恵のある恐竜(人の言葉がわかるみたいですね)は、ヴェロキラプトル(体高約50cm)にちなんで、ラプター猛禽類という意味)”と呼ばれていますが、実は、同じコエルロサウルス類デイノニクス(体高約90cm)がモデルになっているそうです。 

映画「ジュラシック・ワールド」www.youtube.comより

 

恐竜は、骨盤を形成する恥骨の向きによって、鳥類のように恥骨が後ろ向きのものを鳥盤類ステゴサウルス等)、ワニのように前を向いているものを竜盤類といいます。

竜盤類は、草食性の竜脚類アパトサウルス等)と肉食性の獣脚類に分けられ、獣脚類はさら小型のコエルロサウルス類大型のカルノサウルス類ティラノサウルス等)に分けられます。

恐竜起源説によれば、鳥類は、小型の肉食恐竜であるコエルロサウルス類から進化したと考えられています(下図参照)。

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恐竜起源説による鳥の進化系統図

 

恐竜起源説は、地上跳躍説とも言われます。『肉食恐竜が、獲物を追って地上を速く走れるようになり、四足のうち後足は走ることに特化し、前足は獲物を捕えるために使われるようになった。そのうちに跳躍を覚え、獲物を捕える手の動きが羽ばたきとなり、羽毛(特に風切羽)が生えて、飛べるようになった』というものです。

 

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地上跳躍説(Drawing by Mark Hallett)

 

2.共通祖先説(樹上滑空説)

次にもうひとつの考え方、アラン・フェドゥーシアを始め一部の鳥類学者に支持されている「共通祖先説」を紹介します。この説によれば、鳥類も恐竜も「槽歯類(そうしるい)」という共通の祖先から進化したとされています。槽歯類というのは、「ソケットにおさまった歯」を意味し、爬虫類、翼竜類を広く含む分類です(下図参照)。

共通祖先説は、鳥類の祖先は樹上から進化したという考え方です。『樹上生活を営む共通祖先が、樹々を移動するために滑空を覚え、羽毛が発達し、はばたきを覚えるにつれ、飛べるようになった』というものです。「地上跳躍説」に対し「樹上滑空説」と言えるでしょう。

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(鳥と恐竜)共通祖先説による進化系統図

 

上記2つの進化系統図を比べるとわかるように、赤で示されている「鳥類」の位置以外に違いはありません。つまり「鳥の進化のプロセス」についての考え方の違いが、化石の解釈に影響を与え、進化の系統図の違いとなって表れているのです。

 

続いて、2つの考え方の違い、特に竜起源説に対する共通祖先説の反論」について下記にまとめました。

 

1)始祖鳥問題

進化論によれば、始祖鳥はおよそ1億5千万年前に生息していたとされています。しかし、恐竜起源説オストロムによって発見されたデイノニクスは、始祖鳥より4千万年も新しいのです。デイノニクスに代表されるコエルロサウルス類が鳥の起源とするなら、恐竜が鳥へ進化したとされる時期の4千年前に、完全な羽毛をもつ鳥(始祖鳥)が存在していたことになります。

恐竜起源説では、始祖鳥を鳥、あるいは現代の鳥類の直接の祖先であるとは認めたがりません。それは、この時代の逆転が理由のひとつだと考えられます。

また「鳥は恐竜の生き残りである」という主張も、鳥類と恐竜を「恐竜」としてまとめることによって、時代逆転の問題を回避できるからなのかもしれません。

 

一方、鳥の専門家であるフェドューシアは、始祖鳥完全な鳥である、と考えています。その理由のひとつに、始祖鳥の化石にみられる後指(第1指)が完全に後ろを向いており、反対向き(前向き)の3本の前指によって、枝をしっかりつかむことができるからです。

これは現代の鳥と全く同じ構造です。始祖鳥が鳥類の祖先であるなら、木の枝をしっかり掴めたことは、樹上滑空説を支持する証拠と言えるでしょう。

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始祖鳥の想像図(©N.Tamura from Wikimedia Commons)

 

2)2足歩行への進化:上肢/下肢の比率

恐竜の系統進化の過程において、下肢に対する上肢の長さの比率は少しずつ短くなっていることが知られています。

例えば、三畳紀後期(およそ2億年前)のエオラプトル(体長約1m)という原始獣脚類では、後肢に対する前肢(上腕+前腕)の長さの割合50%ですが、 白亜紀後期(およそ9千万年前)のティラノサウルス(体長約12m)では25%程度しかありません。

獣脚類は、4足歩行の恐竜が2足歩行に進化したものと考えられていますが、2足歩行でバランスをとるためには、尾が太く長くなり、前肢が短くなる必要があります。また、人と比べるとわかりますが、体も随分と巨大化していますね(下図参照)。

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(左)エオラプトル骨格(licenced by Creative Commons) (右)人間との比較

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(上)ティラノサウルス骨格(licensed by Creative Commons) (下)人間との比較

 

一方、飛行する脊椎動物は、前肢が長くなる傾向があります。コウモリなどの哺乳類、アホウドリなどの鳥類では、翼開長(翼を広げた長さ)は、体長の2倍以上になります。

飛ぶためには体重を軽くする必要がありますが、その前に推進力を得、速く走るためには、体重だけでなく前肢も短い方が有利です。けれども、短い前肢にいくら羽が生えたところで跳び上がることすらできないでしょう。

また前肢に羽が生えれば、今度は空気抵抗となって推進力維持には不利になり、羽ばたくためには、今度は重い筋肉が必要になってくるのです。

このように、恐竜起源説によると、獣脚類の上肢と下肢の比率と大きさは、進化の過程に逆行しているというわけです。

 

3)羽毛の進化

恐竜起源説では、恐竜が地上から獲物を追って跳躍するために、まず、活動性の高い、内温性(体温を維持できる)動物に進化する必要があります。そのため、うろこから羽毛への進化は飛ぶためではなく、(寒くて獲物が捕れないでは困りますから)素早く動くため、すなわち体温を維持するために起こったと考えられています。鳥の直接の祖先ではない、ティラノサウルスのような大型の肉食恐竜にも羽毛が生えて描かれているのは、おそらくそのためでしょう。はたして、羽毛への進化は本当でしょうか?

 

①羽毛の領域

爬虫類は全身うろこに覆われています(恐竜もそうだったと考えられます)が、全身にくまなく羽が生えた鳥は、実は稀です。むしろ羽は非常に狭い領域にしか生えていません。つまりうろこが羽に進化したという説には無理があるのです。

下に示したのは、スズメのヒナ(巣から落ちて死んでしまったもの)の写真ですが、これを見ると羽毛の領域がわかります。背部には正中に茶色い羽毛がありますが、その両脇に羽毛はありません。一方、腹部では正中に羽毛はありませんが、その両脇には羽毛が生えています。

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スズメの幼鳥(左:背部、右:腹部)

②羽毛の保温性

恐竜起源説では、保温のためとされている羽毛ですが、いわゆる綿毛の状態では雨に濡れると保温効果を失ってしまうことが知られています。例えば、ダチョウのヒナは雨に濡れると体温が下がって死んでしまうため、親鳥が雨に濡れないように守ってやらなければなりません。

 

③羽毛は退化の結果

現代の鳥類で、飛行能力を失った鳥が持つ綿毛は、飛ぶための羽=風切羽等が、二次的に退化したものだと考えられています。ですから、鳥類学者から見ると綿毛から風切羽への進化は、観察される証拠とは真逆であり、恐竜起源説は理屈が通らないということなのでしょう。

 

以上、鳥の進化について2つの考え方とその違いについて紹介しました。今回のポイントをまとめます。

 

  1. 進化のプロセス(地上跳躍説vs樹上滑空説)についての考え方の違いが、進化系統図の違いとなって現れている。
  2. その理由は、進化のプロセスに対する考え方が違うと、同じ化石をみても、その解釈が異なるからである。
  3. つまり、科学者たちは、自分の考え(信念)に合うように、化石(証拠)を解釈する傾向があるといえる。

 

起源の問題を取り扱う古生物学が、科学の分野のひとつであることは疑う余地がありません。けれども古生物学は歴史科学に分類されます。ですから「証拠の解釈」については、個人の「信念=信仰」に影響される、これが古生物学の特徴なのです。

鳥は恐竜から進化したのでしょうか?(2)鳥と恐竜の違い

GWですが・・・新型コロナウィルスの影響で大変な思いをされている方も多いのではないでしょうか。普段何気なく過ごしている日常が、どれほど尊いものかを身に染みて感じています。 

 

さて、前回は羽毛恐竜とその歴史について書きました。恐竜、特に獣脚類の化石に、羽根の前進化段階(プロトタイプ)を示唆する痕跡が見つかり、鳥は恐竜から進化したという説がクローズアップされているというお話しでした。

実は鳥と恐竜の間には、羽根以外にも違いが沢山あります。鳥は恐竜から進化したとするなら、その過程で、羽根以外にどのような違いを乗り越えなけらばならないのでしょうか。今回は、鳥と恐竜の生物学的な違いについて詳しくみていきたいと思います。

 

1)恐竜は恒温動物?変温動物?

恒温動物は、環境温度によらず体温を一定に保つことができますが、変温動物は環境の影響を受けます。鳥類は恒温動物で、体温は哺乳類よりもやや高く41~43℃位です。現存する爬虫類は全て変温動物ですが、恐竜は恒温動物だったという説もないわけではありません。しかし、恐竜には、恒温動物にもみられる特徴、すなわち鼻腔にある鼻甲介という空気をあたためる構造が欠如しており、変温動物であった可能性が高いと考えられます。

 

2)骨に空洞があるのは鳥だけではない

中空の骨は鳥の特徴ですが、哺乳類の頭骨にも副鼻腔という中空構造があります。副鼻腔は、強度を保ちつつ重量を減らし、声の響きにも影響しています。また、ブラキオサウルスなど、首の長い草食恐竜の頸骨にも空洞が発見されており、そのことで容易に首を動かすことができたのだろうと考えられます。もちろん、鳥にとっては、体重を軽くすること、呼吸のしくみに関わることから、中空構造はより重要です。

 

3)鳥に近いのは鳥盤類?それとも竜盤類?

鳥を含む脊椎動物の骨盤は、仙骨、その両側にある腸骨、座骨、恥骨によって形成されます。爬虫類と鳥類の骨盤は異なっていますが、恐竜は、爬虫類型骨盤の「竜盤類」と、鳥型骨盤の「鳥盤類」に分けられます。鳥盤類の恐竜は、ステゴサウルス、トリケラトプス、アンキロサウルスなど4つ脚で背びれや角を持ちユニークな容姿が特徴です。けれども、鳥に進化したと考えられているのは、骨盤が似ている鳥盤類ではなく、ティラノサウルスなどに代表される竜盤類なのです。

 

図1 竜盤類(アロサウルス)と鳥盤類(ステゴサウルス)の骨盤の比較

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Saurischian:竜盤類、Ornithischian:鳥盤類

出典:Encyclopaedia Britannica; https://www.britannica.com/animal/dinosaur/Classification

 

4)鳥の呼吸系は、鳥だけの特徴

鳥は他の脊椎動物と全く異なるしくみで呼吸をしています。高い体温を保ち、飛びながら呼吸するのに非常に良いのです。鳥以外の脊椎動物の肺胞は風船のように膨らみ、吸気と呼気で空気の流れが変わりますが、鳥の肺は膨らまず、代わりに気嚢という袋が膨らみ、吸う時も吐くときも空気が傍気管支内を一方向に流れるしくみになっています。このため、吸気時も呼気時も、酸素を体内に取り込むことができるのです。また、鳥以外の肺は、横隔膜の動きによって収縮しますが、鳥に横隔膜はなく、気嚢は胸骨の動きによって収縮します。鳥は羽ばたくときに胸骨を動かすので、酸素を必要とする動作が呼吸動作につながり、非常に効率が良いのです。

 

図2 鳥類の肺の構造 

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T:気管、L:肺、AS:気嚢、HB:中空の骨構造

出典:Creation.com; Dinosaur to bird theory a flight of fancy - creation.com

 

5)恐竜の呼吸のしくみ

恐竜は爬虫類によく似ています。爬虫類は肺胞の数や肺の表面積が少ないため、哺乳類に比べ、効率ではやや劣っています。肺や横隔膜などの組織は化石化しにくいため、恐竜の肺の構造を知る機会は滅多にありません。けれども、鳥へ進化上の祖先と言われている、獣脚類(竜盤類)の化石に、隔壁をもつ、ふいご状の構造がみつかりました。これは、現在のワニにみられるように、横隔筋によって肝臓を動かし「ふいご」のような呼吸を行っていたことを示唆しています。

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6)鳥と恐竜の支点の違い

鳥の脚は中ほどで膝とは逆、つまり後ろに曲がっているように見えます。実はこれは膝ではなく、踵(かかと)に相当します。体外に見えているのは膝から下で、膝から大腿に相当する骨は体内に密着し外からは見ることができません。鳥は膝を支点に膝下を使って歩行し、恐竜は骨盤を支点に大腿以下を使って歩行します恐竜は太く長く筋肉質な尾を持っており、骨盤(支点)より前にある上半身と重さのバランスをとるのに都合がよいのです。鳥の尾は相対的に軽くできており、もし鳥の支点が骨盤にあったなら、バランスを崩して前のめり、地面をくちばしでつつくことになるでしょう。

 

図3 鳥類の骨格模型(△:支点となる膝)

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Pygostyle:尾骨、Synsacrum:腰仙椎、Femur:大腿骨、Keel:竜骨、Ankle:踵

出典:Answers in GenesisDid Dinosaurs Evolve into Birds? | Answers in Genesis

 

7)鳥と恐竜の尾、どこが違うのか?

絶滅した始祖鳥には、長い骨性の尾が備わっており、そのため、恐竜(獣脚類)に分類されたこともあります。鳥も獣脚類も尾は骨性ですが、構造は随分と違っています。獣脚類の尾はワニのように、椎骨の背側には神経棘(突起)が、腹側には血管棘(突起)があり、側方には靭帯や筋肉が付着していた痕跡があります。長く太い尾でバランスを保つ恐竜には筋肉や血管は必須であったことでしょう。一方、化石で発見される鳥の尾は、もっと簡単な構造です。神経棘や血管棘もなく、筋肉があったとしても、根元にごくわずか、尾を指揮棒のように動かす程度だったと考えられます。

 

8)恐竜が羽根を獲得したわけは?

鳥は恐竜から進化したと信じている人たちは、恐竜には羽根が生えていたと主張しています。その理由として、温血動物になるため、目立つため、飛行能力を獲得するためなどの仮説があります。けれども、単に体温を上げるなら脂肪を増やす方が簡単ですし、ヘビにも奇抜で複雑な色彩を持つものがいます。また、プテロダクティルスなどの翼竜は、コウモリのような被膜を持ち、飛翔能力を備えていましたと言われています。恐竜にとって羽根の必然性はどこにあったのでしょうか。

 

図4 プテロダクティルスの化石標本

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https://en.wikipedia.org/wiki/Pterodactylus

 

9)とても複雑な羽根の構造

鳥類の羽根は、爬虫類のうろこと異なり哺乳類の毛に似ていますが、もっと複雑です。例えば羽根は、羽軸(Rachis)を中心に内弁と外弁に分けられ、内弁と外弁は、羽軸からわかれた羽枝Barb)とそこから分岐した小羽枝(Barbules)によって構成されています。小羽枝(隣の羽枝から分岐した)小羽枝と重なり合い、上の小羽枝のフックと下の小羽枝の突起が、まるでジッパーのように組み合っています(○barbicells:鉤)。また、尾の根元の尾脂腺からは、油性の物質が分泌され、それを嘴でまんべんなく体全体に塗ることで(いわゆる羽づくろい)、水をはじき、雨の中を飛び、水中を自由に潜ることができると考えられています。

 

図5 翼と尾の羽根の比較と羽毛の構造

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rachis:羽軸、barb:羽枝、distal barbules:遠位小羽枝、proximal barbules:近位小羽枝、barbicels:鉤(赤い〇で示されたフック構造)

出典:A Guid to Bird Feathers;  https://www.avianreport.com/bird-feathers/

 

これまでみてきたように、鳥と恐竜には、羽根以外にも多くの違いがあります。もし鳥が恐竜から進化してきたのが本当だとすれば、それらの違いの移行形態を示す(自然選択されたもの、されなかったもの含め)多くの化石が見つかるはずです。しかし、現時点では、羽毛恐竜以外に移行形態は発見されておらず、その羽毛恐竜でさえ化石工場で作られたものがあると指摘されています(▶:鳥は恐竜から進化したのでしょうか?(1)歴史と背景 )。

また、羽毛恐竜には羽毛の痕跡を持つもの現代の鳥と同じ羽根を持つものがありますが、現代の鳥と同じ羽根を持つものについては、学者の間で鳥か恐竜かで分類が一致していません。真の羽根をもつこれらの化石を、鳥類学者は鳥に分類する傾向があり、古生物学者は恐竜に分類する傾向があるのです。この違いを生む大きな理由は、鳥類学者は、恐竜と鳥類は共通祖先から別々に進化したと考えており、古生物学者は、恐竜から鳥へ進化したと考えているからです世界観の違いが、考え方の違いを生むのです

鳥は恐竜から進化したのでしょうか?(1)歴史と背景

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https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sinosauropteryxfossil.jpg

鳥は恐竜から進化したのでしょうか?

 

恐竜超伝説 劇場版ダーウィンが来た!がまもなく上映開始となりますね。予告編を観ると、恐竜たちが実にリアルに描かれています。ゴジラのような声で吠える恐竜、トサカのような羽毛をディスプレイする恐竜、またティラノサウルスの背中には、ふさふさした鳥のヒナような、あるいは哺乳類のような毛が生えていました。基本的に恐竜の化石や骨から、体表の色は判別できませんので、これらの模様は、残念ながらイラスト作者の想像です。では、羽毛をもつ恐竜(通称:羽毛恐竜)は、本当にいたのでしょうか?今回の記事では、羽毛恐竜の真偽、歴史とその背景について迫りたいと思います。

 

【羽毛恐竜の歴史】 

鳥も恐竜も足が3本指であることから、鳥は恐竜から進化したのではないか、という考えは昔からありました。その説に脚光が浴びるようになったのは、1996年、中国遼寧省シノサウロプテリクス(sinosauropteryx)- Wikipediaの化石に 羽毛の痕跡らしきものが発見されたからです。後に、羽毛の痕跡とされたものは、羽毛ではなく、皮膚(表皮)の一部である、と結論されました。

 しかし、この痕跡から鳥に特有のメラノソーム(色素)を発見したという研究が発表され、やはり羽毛への移行形態を示したものであり、鳥は恐竜から進化したという説の裏付けとされました。

 けれども、「進化論を信じている全ての科学者が、鳥は恐竜から進化してきた」と主張しているわけではありません。「メラノソームの検出方法は科学的に信頼できない」とする古鳥類学者の反論(下記参照)もあり、この論争に決着はついていません。

link.springer.com

 

【化石:研究とビジネスのはざまで】

1999年10月、やはり遼寧省から、現代の鳥のような羽を持つ恐竜化石が発見され、恐竜と鳥をつなぐ「ミッシングリンク(進化の移行形態を示す化石)」がみつかったとして、ナショナル・ジオグラフィック誌に発表されました。アーケオラプトル(Archaeoraptor liaoningensis)と名付けられたこの化石は、CTスキャン等による、さらなる調査の結果、Yanornisという鳥の化石に、Microraptorという小さな恐竜の尻尾を組み合わせた合成化石(キメラ)であることが判明しました。現代人の頭骨とオランウータンの下顎骨で捏造されたピルトダウン人 - Wikipediaのようなことが、恐竜でも起こったわけです。

 化石の合成はアーケオラプトルだけではありません。中国では主に農民が化石を発掘しているのですが、その際学術的な手順を踏まないため、同じ種の別の個体だけでなく、別の種の個体の一部を組み合わせて化石商人に売ることがあるようです。また、遼寧省には非常に精巧に化石を細工する工場があり、化石標本の信頼性を著しく損ねています。背景には、密輸やオークション、手段を選ばず貴重な化石を欲しがる需要家の存在があります(下記参照)。

www.scientificamerican.com

 

【化石研究における問題】

羽毛恐竜を研究する古生物学者たちは、自ら発掘した化石だけではなく、中国のように市場や商人から購入した化石を研究し、その結果を発表します。けれども、発表の中で、化石をどこで入手したのか、発掘したのか購入したのかについて言及されることはあまりありません。また、古生物学上の発見が貴重であるほど、その化石が他の科学者によって吟味される機会は限られ、第三者による検証が困難、もしくは、時間がかかるのです。

 

【羽毛恐竜についての立場】 

以上をふまえ「恐竜は鳥に進化したのか」という問いへの答えを、信仰や世界観によって大きく整理すると、以下にようになるかと思います。

  神(創造主) 地球は若い 進化論 恐竜から鳥への進化
タイプ1 信じない 信じない 信じる 信じる
タイプ2 信じない 信じない 信じる 信じない
タイプ3 信じる 信じない 信じる 信じる信じない*
タイプ4 信じる 信じる 信じない 信じない

*「信じる」「信じない」どちらもあり得る

「タイプ1+タイプ2(緑)」、「タイプ+タイプ4(紫)」は、神(創造主)の存在で意見がわかれるので、前者は神を信じない、後者は神を信じる(特にユダヤ教キリスト教イスラム教の)立場です。

 タイプ1とタイプ2は、ともに進化論を信じていますが、「恐竜から鳥へ進化した」と考えるタイプ1と、「恐竜と鳥には共通祖先がいた(鳥と恐竜には時間的連続性がない)」と考えるタイプ2があります。

 タイプ3は、生命の創造主=神の存在を認めながらも、神が進化の過程を導いたと考える立場です。タイプ3には、恐竜から鳥へ進化したと考えるタイプ1、恐竜と鳥には共通祖先がいたと考えるタイプ2の立場があると思われます。

 タイプ4は、創造主が、恐竜も鳥も別々に創造したという考え方です。ユダヤ教キリスト教イスラム教はアブラハムを信仰の祖とし、その聖典旧約聖書で共通しています。したがって旧約聖書中の創世記の記載通り、鳥は創造の5日目、陸の生物は、野の獣やはうもの(恐竜や爬虫類)として創造の6日目に造られ、その順序は、恐竜・鳥の順ではなく、鳥・恐竜の順だと考えられています。

 

[創世記1章21、22節]

それで神は、海の巨獣と、その種類にしたがって、水に群がりうごめくすべての生き物と、その種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。神は見て、それをよしとされた。神はまた、それらを祝福して仰せられた。「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地に増えよ。」こうして夕があり、朝があった。第五日。

[創世記1章25節、31節]

神は、その種類にしたがって野の獣、その種類にしたがって家畜、その種類にしたがって地のすべてのはうものを造られた。神は見て、それをよしとされた。

そのようにして神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ。それは非常によかった。こうして夕があり、朝があった。第六日。

 

【まとめ】

以上、羽毛恐竜について、歴史と背景についてまとめてみました。要約すると以下のようになります。

 

・進化論を信じている全ての人が「鳥は恐竜から進化した」と信じているわけではない

・「鳥は恐竜から進化した」という期待を背景に、合成化石、捏造、密輸が問題となっている 

羽毛恐竜だとする化石には、証拠不十分なものが含まれており、さらなる吟味が必要である

 

さらに大事な点は、もし仮に、明らかな羽毛をもつ恐竜がいたとしても、それが恐竜から鳥へ進化したことを証明しているわけではない、ということです。これについては、次回以降、詳しくお話したいと思います。

 

進化論のアキレス腱

みなさま、あけましておめでとうございます。

 

ブログを開設して1年余が経過しました。定期的にチェックしてくださっているみなさま、心より感謝申し上げます。また、たくさんの質問や「いいね!」また、励ましのコメントありがとうございます。

 

このブログのタイトルを「創造論と進化論」ではなく「若い地球と進化論」にした理由は、結局のところ、争点になっているのは「時間」だからです。これまで、地層や化石、遺伝子など、さまざまな科学的証拠について、進化論と比較しながら、進化論以外の解釈が可能であることを示してきました。

 また、信仰によって科学を定義する(例えば、聖書には起源についてこう書いてある。聖書に間違いはないから、科学的にも真実だと言い張る)のではなく、科学的に信仰を定義して(科学には再現可能な実験科学再現不能な歴史科学があり、歴史科学は世界観の影響を受けていることを明らかにして)きました。つまり、進化論は、検証ができない点で(厳密な意味で)科学ではなく、信仰の領域に含まれるということです。繰り返しになりますが、実験科学と歴史科学には明確な違いがあることを理解しておく必要があります。

 

進化論は、誤解を恐れずに言えば「時間」を神とする信仰です。同じ信仰なのに、創造論が科学の世界では受け入れられず、進化論が受け入れられるのは、「時間」には「人格」がないので、宗教であるとは認識されないからかもしれません。

 確かに、時間=tは、すでに物理や化学の世界でなじみが深く、tを使った関数は、いたるところでみることができます。

 例えば、自分の運転する車が走る距離を知りたいとき、はっきり意識していなくても、頭の中では、1次関数を使っています。

 L=vt (L:走行距離、v:時速、t:時間)

 では、同じように数式を使って進化論の考え方を表すとどうなるでしょうか。進化論は、時間とともにAという生物がBという生物に進化したという考えですから、時間の関数f(t)を含んだ以下の式で表せるのではないでしょうか。

  A・f(t)=B

ダーウィンの進化論は、某公共放送の「〇〇が来た」という番組でわかるように、まるで事実であったかのように扱われています。つまり、上の式は、証明された公式(真理)だと考えられているわけです。けれども、この式が成り立つためには、以下の条件が満たされている必要があるのです。

  • Bの進化上の祖先である、Aの存在が明確である
  • f(t)は進化のメカニズムを表し、時間の関数であらわすことができる
  • そのメカニズムは時間に対して常に一定である。

 しかし、ここで注意しなければならないのは、上記3つの条件は何一つ満たされていない、つまり全てがナゾであるということです。

 

第一に、現存する生物Bの、進化上の祖先A、とされる生物(化石)はまだ見つかっていません。確かに、進化上の祖先とされる生物の候補が見つかった、と報道されることがありますが、研究者の見解が一致しているわけではなく、後で違ってたとなっても、それが訂正されることはありません。ミッシングリンク(失われた環)と呼ばれるものは、まだミッシング(見つかっていない)のままなのです。

  例えば、かつて人間とチンパンジーの共通祖先としてもてはやされた、アウストラロピテクス“ルーシー”。脳が大きくなる前に直立歩行を始めたと言われていましたが、よく観察すると、足指骨の形状は、樹上生活をする猿によく似ていること、背骨にヒヒの椎骨が混じっていたことが報告されており(下記記事参照)、それが、本当に人間の祖先を示しているのか、異をとなえる研究者も少なくありません。中間種とされるこれらの化石は、サンプルが希少であるため、他の研究者による追試験ができず、発見者の主観を大きく反映しています。ここも実験科学と大きく異なるところです。

 

次に、進化のメカニズムとして確かなものは、何もわかっていません。突然変異が進化の原動力だとされていますが、突然変異によってある種が別の種に変わった例は、自然界、実験室を含めて観察されたことがありません。それどころか、観察される突然変異のほとんどは改善ではなく改悪、つまり遺伝子に欠陥を持っています。

 (たまに起こる)良い遺伝子変化だけが蓄積して進化し、(より多く起こっている)悪い遺伝子変化は、機能をもたない、いわゆるジャンクDNAに起こったのだとする考え方もあります。しかし、ゲノムの研究が進み、遺伝学が進歩すればするほど、ジャンクDNAの多くは、実はジャンク(ごみ)ではなく機能を持っていることがわかり、このような考え方も否定されてきています。

 「ヒトゲノムにおける機能をもつ遺伝子の上限」という論文を紹介します。言い換えると「ジャンクDNAには下限がある」、つまり、ジャンクDNAがある割合以下だと(機能を持つ部分にも)突然変異が起こるので、個体は死に絶えてしまう(=進化論の考えが成り立たなくなる)という内容です。著者は進化論者なので、そんなことはありえないと述べていますが・・・英語力に自信のある方は、是非読んでみてください。

 

変化が時間に対して一定であるという考え方は、放射性年代測定でもでてきましたが、斉一説といいます。進化であれ、放射性崩壊であれ、あるメカニズムが(進化論がいうように)過去数十億年に渡って常に一定であったと仮定すること自体、無理がありますが、数十億年という年代は、その無理な仮定のもとに生まれました。

 

以上のように、進化論は、あたかも真理であるかのように喧伝されてはいますが。実はナゾだらけの学説なのです。証明できないことが証明されたかのように、報道されることがありますが、その主張に異をとなえている科学者も少なくありません。

 最後に「進化論のアキレス腱」というDVDのビデオクリップを紹介します。DVD本編にも登場する科学者たちの意見にも是非、耳を傾けてください。DVDのご購入に興味のある方は、画面右上からリンクに移動できます。

 

www.youtube.com

 

今年も「若い地球と進化論」をよろしくお願いいたします。

「親知らず」は、痕跡器官?

久しぶりの投稿です。今回は「親知らず」として有名な、第三大臼歯についてのお話しです。

 

私ごとですが、9月末に右下顎の奥歯にインプラントの手術をしました。手術前に何度かレントゲンをとりましたが、私の場合は「親知らず」に相当する第三大臼歯が写っていませんでした。日本人では、約30%がこのタイプだそうです。ちなみに私の妻は、上下左右とも第三大臼歯が生えています。

私たち夫婦が通っている、歯医者さんのご厚意を得て、私(親知らずなし)と妻(親知らずあり)のレントゲンをお借りしてきました。

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クイズ:親知らずがあるのはどっち?

親知らずの名の由来は、20歳以後に生えてくることが多いので、親も知らないから「親知らず」、英語では、分別のつく頃に生えてくるので、Wisdom Teeth (智歯)とも呼ばれます。

 

第三大臼歯は、上下左右の2本の奥歯(第一、第二大臼歯)のさらに奥から生えてくるのですが、時として、奥歯の後ろに十分な余裕がないままに生えてくるので、まっすぐ上に向かって生えてこないことがあります。そうすると、痛みがでたり、歯の周囲に感染や炎症を起こし、抜く必要がでてくる場合があるのです。

 

進化論では、その存在が現代人には無用(あるいは問題を起こす)ものを「痕跡器官」といいます。痕跡器官とは、進化の過程において、完全に退化しきれず残ったものというわけです。進化論によれば、何かを獲得すれば進化といい、一度獲得したものを失えば退化といいます。つまり、進化の過程で退化が起こるというわけです。まるで魔法のようですね。

 

痕跡器官」と言うと、いわゆる「盲腸」として知られる「虫垂」や「しっぽ」の名残りとされる「尾てい骨」などが有名かもしれません。けれども、かつては痕跡器官として考えられていた、これらの臓器も、現代医学の発展により、虫垂は免疫学的に重要、尾てい骨は、解剖学的に筋の付着部としてなくてはならない役割を果たしていることが知られています。つまり痕跡器官ではなかったのです。

 

では「親知らず」はどうでしょうか?「親知らずは、問題ばかり起こすので、現代人には不要であり、進化の痕跡器官である」という考え方がある一方で、食生活・食習慣の違いが、第三大臼歯の出方に影響を与えるのだという考え方もあります。

 

高度に加工されていない、生に近い硬いものを食べる民族では、年を取るにつれ、歯がすり減っていくことでしょう。そして、野球で言えばリリーフのように現れる、第三大臼歯の存在は、健康な食生活を営む上で非常に重要と思われます。また、加工された軟らかいものばかりを食べる、現代風の食生活を送っていると、顎が十分に発達しません。すると、親知らずが生えてくるスペースがなく、トラブルを起こしやすくなるという考えの方が、説得力があるように思いますが、いかがでしょうか?

 

 

クイズの答え:「右」が親知らずありのレントゲンです。

地球の誕生日

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地球は一体いつ生まれたのでしょうか?

 

【はじめに】

一般的な考え方では、地球の年齢は約46億年とされています。その根拠となっているのは、アメリカの地球化学者である、クレア・パターソン(Wikipedia)による「隕石の年代測定に関する研究」です。彼が測定したのは、こんな隕石でした。

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キャニオン・ディアブロ隕石(Wikipedia

パターソンは、シカゴ大学の学生時代に、鉛による健康被害を研究しました。その後、鉛の放射性同位体の比を用いた年代測定法によって、隕石の年代を推定し、地球の年齢としたのです。パターソンの測定結果については、地球と隕石の起源は同じ、としてよいのか等、さまざまな意見があります。興味のある人は、地球の年齢(Wikipedia)などの、リンクを参照してください。

 

パターソンが使った「鉛の放射性同位体」による年代測定法や、地球の年齢を推定するその他の方法については、原理が複雑なので説明はいたしません。

今回は全ての年代測定法に共通する問題点についてお話ししたいと思います。

 

【放射性年代測定法の原理】 

この「問題点」を説明するため「炭素年代測定法(炭素法)」と「カリウム-アルゴン法(アルゴン法)」を例に進めていきます。これらの年代測定法の詳細については、以下の記事も是非ご覧ください。

 

炭素法: 「昔」は測れるの?:炭素年代測定のナゾ - 若い地球と進化論

アルゴン法: もっと「昔」は測れるの?:続・年代測定のナゾ - 若い地球と進化論

 

「問題点」に入る前に、放射性年代測定法の原理と仮定についてお話しします。なんだか難しそうですが、わかりやすく言いかえるなら、

 

”y=ax+b”という式があったとして、そのものが原理に、abなどの定数仮定に相当します。そして、x測定結果を代入すれば、yとして年代が求められる、というわけです(実際の計算はこんなに簡単ではありませんが)。

 

放射性年代測定の原理について説明します。

第一に「昔」も「今」も、次のような反応が続いていることが大前提です。 

 

「昔」放射能をもつ物質A0(不安定)⇒放射能をもたない物質B0(安定)+放射線

「今」放射能をもつ物質A(不安定)⇒放射能をもたない物質B(安定)+放射線

 

上の式は、「放射能をもつAという不安定な物質」が「放射線を放出」して「放射能をもたない安定した物質B」に変化することを示しています。

物質AやBの横の数字は「時間」、すなわち「0=その物質が造られた時」「1=年代測定する時(現在)」を示しています。

 

第二に、昔と今を比較します。比較の対象は2つあります。

  

① A0とAの差(例:A=炭素法における「C14」)

② B0とBの差(例:B=アルゴン法における「アルゴン」)

 

このとき、A1やB=実際の測定結果、となりますが、A0やB0については、昔の事実なので測定することはできません。そこで、もっともらしい仮説によって、A0とB0を決めておく(=仮定)必要があります。

 

また、放射性物質が半分の量に減る時間は「半減期」として知られているので「半減期何回繰り返せば上記①や②の差が生じるのか」は計算で求めることができます。

そして、この結果をもって「”0”で示される時がいつなのか」、つまり、その放射性物質が誕生した年とするのです。

 

【年代測定法の仮定と問題点】 

 放射性年代測定法の仮定についてお話しします。年代測定法は、使用する放射性物質半減期が違ったとしても、共通する「3つの仮定」があります。そして、この仮定こそが問題なのです。

では、放射年代測定法の仮定と問題点についてお話しします。

 

1)初期値(ゼロ)がわかっている

初期値というのは、ある物質が造られた時、すなわち「0(ゼロ)=知りたい昔」時点で、その物質に含まれる、A0やB0の量のことです。これは、測定法ごとに決められていて、これを「初期値の設定」といいます。

例えば、炭素法では、空気中の全炭素(C12+C13+C14)に占めるC14の割合は、昔も今も変わらず一定の値であったと仮定されています。また、それだけでなく、植物も動物も生きてさえいれば、必ず空気を取り込むので、生体組織中のC14濃度は、空気中のC14濃度と等しいとも仮定されています。

また、アルゴン法では、溶岩が固まる時に、岩石中の全てのアルゴン(ガス=気体として存在)は、高熱によって消失したはずなので、B0=ゼロと仮定されています。これらの初期値が決まると、後々の計算が非常に単純化され、都合が良いのです。

 

けれども、物事はそう単純ではありません。C14は宇宙線によって生成されるのですが、宇宙線は地球の磁場の影響を受けています。例えば、磁場が強いと宇宙線が妨げられ、生成されるC14が減ります。また、火山活動が活発な時は、CO2が増え、C12が増えます。このように過去の磁場変動や火山活動によって、過去のC14濃度は、現在よりも低かったことが推測されるので、炭素法による測定結果は、年代を過大評価(実際よりも古いものだと)してしまう可能性があるのです。

炭素法同様、アルゴン法の初期値(B0=ゼロ)にも問題があります。溶岩が固まる時にアルゴンガスが消失しきれなかった可能性があるからです。噴火時に溶岩に残存したアルゴンガスは「過剰アルゴン」と呼ばれ、あり得ない程、古い年代を示すことが知られています(参考: 過剰アルゴン(輸送と捕獲過程))。例えば、噴火年度の知られている火山の岩石を、アルゴン法で測定したところ、実際の噴火年度よりもはるかに古い年代を示したという研究結果が発表されています。

 

火山と溶岩 場所 噴火年度

アルゴン法による測定結果

Hualalai玄武岩 ハワイ AD1800年頃 160~2100万年前
Kilauea玄武岩 ハワイ 200~1000年以内 800~4290万年前
Mt.Etna玄武岩 シチリア AD1792年 35万年前
Sunset噴火口玄武岩 アリゾナ AD1064年 27万年前
Mt.Lassen斜長石

カリフォルニア

AD1915年 11万年前

 

 2)半減期は一定である

環境や条件によって半減期が変化する可能性について、専門家の間でも意見が分かれています。しかし数千年、数億年という長い時間経過の中で、半減期が、計算通り一定だったと一体だれが保証できるのでしょうか?

 

3)閉鎖系が保証されている

閉鎖系とは測定に関わる物質について「外部からの出入りがない」とされる環境のことです。しかし、自然界において閉鎖系を証明することは非常に困難です。

例えば、年代を知りたい縄文式土器があるとします。この時、土器そのものを炭素法で年代測定するわけではありません。土器と一緒に発掘された貝塚や発見された地層中の炭化した木材の年代を測定します(参考:縄文土器の始めと終わり)。しかし、自然界に存在する貝や木材は、外気だけでなく、地下水や雨水、他の生物と接触したことでしょう。これはもはや「閉鎖系」ということはできません

閉鎖系について、文部科学省のサイト文化資源の発掘(1)C14年代測定の原理から、一部を要約して引用します。

C14による炭素年代測定法の原理に基づき、ある試料について正確な年代値tが得られる条件としては、半減期T1/2が正確に求められていること以外に、次の2項目があげられる。

ア 試料の炭素固定が行われた際の初期14C濃度が正確に解っていること
イ 試料が外界から隔離されてから、年代測定に至るまでの間、試料中の炭素は外界との交換がなく閉鎖系に保たれていたこと、

これらの2条件は、測定対象となる試料自身の性質に依存するが、試料が古くなるほど、初期14C濃度は不明確になるし、自然環境下に存在した際に炭素について閉鎖系が満たされていたかは明らかではない

  

上記で述べられているように、自然環境でみつかる試料中の炭素については、閉鎖系の条件は満たされていない可能性が高いのです。ですから、これらの仮定が成り立つ限りにおいて、放射性年代測定結果は意味を持つのですが、これらの仮定が保証されている可能性は、実は限りなく低いのです

 

これらの仮定(要件)を満たすことの困難さについては、「放射年代測定における基本的な問題」という論文を、是非お読みください。重要と思われる部分を要約して、下記引用します。

測定に用いられた試料は、各年代測定法で要請されている要件をきちんと満たしているのか。この点について、十分に客観的な見地から判断できるような基準を設けることが重要である。

しかし、実際には、このことが最も困難な点であり、しろ得られた結果から判断することも少なくない

 

引用部分を簡単に言えば「仮定が正しいかどうか、わからなくても、測定結果が合ってれば、それで良しとしましょうよ」ということです。

 

それでは「測定結果」「何」と合っていればよいのでしょうか?実は、この「何」こそが年代測定の「最も」重要なポイントです。年代推定結果よりも重要かもしれません。なぜなら、この「何」が決まれば、全てが決まるからです。

そして「現代科学の合意」によれば「何」に相当するのが「地球はかなり古い」という信念なのです。測定結果が、この信念に合っていれば、受け入れられるし、合っていなければ、間違いとされるのです

このような「現代科学の合意」のことをパラダイムといいます。

 

【まとめ】

科学には「実験科学」「歴史科学」があります。

実験科学については、実験結果をもとに議論を戦わせ、その結果によって、どちらが正しいかを客観的に判定することができます

しかし、歴史科学においては、議論を戦わせても、実験できないので判定できません。そこで「どちらの主張が正しいのか」の判定は「パラダイム」に沿って行われるのです。

 

以上から、地球の年齢は、現代のパラダイムによれば46億年となります。けれども、放射性年代測定は、さまざまな不確かな仮定の上に成り立っているので、その年齢が本当に正しいかどうかは、今のところわかりません、というのが良識のある答えだと思います。

 

今回の記事をまとめた動画を紹介します。 

 

7月はお休みしてしまったので、長くなってしまいました。少し難しかったでしょうか?もしよろしければ、感想・コメントを是非残していってください。

花粉のパラドックス

ご無沙汰しております。長らく更新されないのに、あきらめずにブログをご覧になっていただいる方、ありがとうございます(涙)

 

【失われた世界】

『失われた世界』という作品をご存じでしょうか?シャーロック・ホームズの著者として有名なコナン・ドイルにより、1912年に発表されたSF作品です。いろんな恐竜が登場する、この作品は映画化もされており、あのジュラシック・パークにも強い影響を与えたと言われています。

 『失われた世界』の舞台となったギアナ高地には、ベネズエラガイアナ、ブラジルにまたがるテーブル状のロライマ山(標高2810m)という山があります。 

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ロライマ山/Wikipedia

 

この山の地層は「ロライマ累層」と呼ばれ、水晶のアレナイト砂岩で構成されており、放射年代測定法によれば、少なくとも、17 億年前に形成された、と考えられているそうです。

 

【植物の進化論】

「植物の進化」については、生物ほどには専門家の意見が一致していませんが、植物が地上に出現した順序と地質年代との対応は、およそ下記のようだとされています。

 

時代区分   年代 植物の出現
新生代 第4紀 180万年~  
第3紀 180万年前まで  
中生代 白亜紀 6500万年前まで  
ジュラ紀 1.5億年前まで

被子植物

例:サクラ、イネ

三畳紀 2億年前まで  
古生代 ペルム紀 2.5億年前まで

裸子植物

例:イチョウ、マツ

石炭紀 3億年前まで

シダ類

デボン紀 3.6億年前まで  
シルル紀 4.2億年前まで  
オルドビス紀 4.5億年前まで コケ類
カンブリア紀 5億年前まで 藻類
カンブリア紀 46億年前から  

 

進化論では、胞子が進化して花粉になったとされています。いわゆる「有性生殖」の始まりです。つまり「おしべ」から出る花粉が「めしべ」に受粉することによって種子ができるようになったというのです。そして、裸子植物は、最初の種子植物だと言われています。

 

【花粉のパラドックス

いまから約50年前(1963年)世界で最も有名な雑誌のひとつ、”Nature”に、ロライマ累層から花粉と胞子の化石が見つかったことが報告されました。

 ある植物学者、ダンスタービル博士が、”Orchid(ラン)”を求めて、ロライマ山を探索中に、石油のもとになる「オイルシェール」の地層をみつけ、サンプルとして持ち帰りました。これを石油会社の花粉学者が調べたところ、保存状態の良い、花粉と胞子の化石がみつかったのです。

 

当時、ロライマ山は17億年前(先カンブリア紀にできたとされ、花粉と胞子は、進化論によれば、3億年前より後に出現したはずです。つまり、古いとされている地層から新しい時代のものがみつかったわけです。

 この衝撃的な報告を受け、当時の地質学者たちによって再度調査が行われたようですが、結果は同じだったそうです。それらの結果を受けて、翌年の”Nature”に、スタインフォース博士(地質学者)によって次のようなLetter(コメント)が発表されました。 

 

Letterを書いたスタインフォース博士は、別の報告書の中で、こう述べています。

“The rocks concerned are unquestionably ancient (Precambrian) and are so altered that no organic matter should be recognizable in them. Also they are physically dense, with no obvious routes (such as natural permeability/porosity or crack systems) through which solid particles might enter them. Yet standard palynological techniques recovered well-preserved fossil pollen from the samples!!!”

《翻訳》「問題の岩は間違いなく先カンブリア紀のものだ。長きに渡り変成してきたので、有機物が存在するはずがない。また物理的にも非常に高密度であり、粒子が入り込めるような(穴や裂け目などの)侵入ルートもない。だが、標準的な花粉学の技術によって、保存状態の良い花粉の化石が発掘されたのだ!!!」

 

この難題についてどう考えたら良いのでしょうか。スタインフォース博士は、2つの可能性を示しています。

  1. ロライマ山の地層年代が正しい。花粉は何らかの方法で混入した 
  2. 花粉の地層年代が正しい。古い地層がもとになってロライマ山を形成した

 

しかし、どちらの考えも決定的ではないことを認め、次のように結論づけています。

”As stated, we offer no solution to the paradox. It is clear, however, that botanist Dunsterville in his hunt for rare orchids stumbled on a highly intriguing geological problem."

《翻訳》「述べてきたように、我々は、この(地層年代の)矛盾に対する回答を持ち合わせていない。しかし、ひとつだけ確かなことは、珍しいランを探しに行ったダンスタービル博士(植物学者)は、地質学上とてもやっかいな問題につまづいてしまったというわけだ。」

 

今日の話を、簡単にまとめたビデオを紹介します。 

 

今回の記事は、下記ウェブサイトを参考にしました。

 

また、ロライマ山は、ベネズエラの観光地として紹介されています。

 

次の更新は、7月になりそうです。よろしくお願いいたします。