若い地球と進化論

地球の歴史や人間の起源について考えるブログ

科学と信仰は両立できるのか?

よく「科学と信仰は両立できるのでしょうか?」と聞かれることがあります。ここで言う「信仰」とは、天地万物を創った唯一の神(=創造主)がいると教えている信仰、すなわち、アブラハムを信仰の祖とする、ユダヤ教キリスト教イスラム教のことを指します。

 この質問の背景には、「進化論=科学」「信仰=進化論を否定する」、つまり、信仰が科学を否定しているから、「科学と信仰は両立しない」のではないか、という思いが見え隠れします。また進化論は、基本的に無神論であることも影響しているでしょう。

 けれども「科学と信仰は両立しない」と早合点するのは、物事を単純化しすぎているのではないかと思います。科学と信仰についての理解を深めるための、2つの視点を紹介したいと思います。

 

1.クリスチャンの視点

私はクリスチャンです。クリスチャンの視点からみると、科学者と信仰者は、次の4つのタイプに分類されると思います。

 

進化論を信じる

科学者

進化論を信じない

科学者

クリスチャン

である

 ①  ②

クリスチャン

ではない

 ③  ④

 

 に分類されるのは、クリスチャンの中でも「有神進化論」を信じている人たちです。有神進化論とは、神が命を生まれさせ、その後、進化論の通りに進化を導いたという考え方です。アメリカの遺伝学者で「国際ヒトゲノム計画」を導いた、フランシス・コリンズ博士が有名です。この方の著書として『ゲノムと聖書:科学者、「神」について考える』(2008年 エヌティティ出版という本があります。

 

に分類されるのは、聖書の記述を信じるクリスチャンです。この中には、聖書の記述を字義通り(つまり地球は誕生して約6000年だと)信じるクリスチャンと、天地万物の創造記事に関しては、年代の解釈には比喩が含まれている(地球の年齢は進化論で言う46億年)と信じるクリスチャンがいます。前者を「若い地球の創造論、後者を「古い地球の創造論(漸進創造論)」と呼び分けることもあります。

16世紀以降、偉大な発見をした科学者たち、ガリレオパスカル、ボイル、ケプラーニュートン、ファラデー、レントゲン、パスツール、メンデル他、は聖書を信じるクリスチャンでした。彼らの発見は進化論の発表前なので、若い地球の創造論だったことでしょう。

 

は、新聞やテレビなどのメディアの論調に代表されるいわゆる一般論です。あえて説明する必要はないと思いますが、日本人の多くの方がここにあてはまるのではないでしょうか。

 

に分類されのは、創造主信仰を持っているわけではないが、かと言って、進化論を信じているわけではないという人達です。話題にのぼることが少ないのは、現代の科学界や学会で、進化論を否定すると、科学者としての立場が保証されなくなることがあるので、公に意見を述べることができないのかもしれません。

聖書の神かどうかはわかりませんが「神」という概念を信じている科学者には、素粒子論で有名なカク・ミチオさんがいます。

bigthink.com

  

2.科学の視点

多くの人が「進化論」は科学であることを疑っていませんが、科学は大きく分けると、実験科学と歴史科学の二つに分類されます。それらを比較してみましょう。

 

 研究のヒント

 研究対象   特 徴
 実験科学  現在  現在

 観察可能

 再現可能

 歴史科学  現在  過去

 観察不可能

 再現不可能

 

このうち、実験科学というのが、いわゆる、狭義の「科学」です。科学者によって意見が分かれることはありません。対象について実験し、観察、再現できるので、結果は誰の目にも明らかだからです。

  一方、歴史科学は物事が過去にどのように起きたのかを扱います。現在目にするものをヒントに、過去を推測するのですが、理論化(単純化)するために仮定や前提条件が必須となるので、導かれる結論は、仮定や前提条件に大きく左右されてしまいます。これらの仮定や前提条件は、過去のことなので、確かめようがなく、科学者の持つ世界観(=信仰と言い換えてもよい)で結論が決まるのです

 

歴史科学の例として、犯罪捜査が挙げられます。過去に起きた事件を、残された物的証拠を持って犯人を絞り出し、動機やアリバイ、目撃証言を元に犯人を特定するのです。しかしどれだけ証拠が揃っても犯人が見つからないことや冤罪の歴史が物語るように、客観的に犯人を証明することは困難です。

進化論も歴史科学のひとつです。地層や化石などの物的証拠をもとに、それらは長い悠久の年月を経て進化してきたはずだ、という世界観に基づいて築き上げた科学体系(パラダイム)なのです。ですから、ある岩石の年代を測定し、この体系に合わない結果がでるとその結果は間違いとされて排除されてしまうのです。

 

以上をまとめると、「科学と信仰は両立するのでしょうか?」という問いに対しては「両立する」と言えます。それは過去の偉大な科学者たちの発見をふり返れば、理解できますよね。

また、進化論については、純粋な科学(=実験科学)ではなく、ある世界観(信仰)に基づいた科学であると言えるでしょう。ただ、現在のパラダイムパラダイムとは簡単に言えば、常識であって真理ではありません)のもとでは「進化論は科学ではない」と否定することは、パラダイムを否定することにつながるので、注意が必要です。 

少し難しい話が続きましたね。息抜き?にアメリカで作られた「進化論vs神」という映画を紹介します。ある大学のキャンパスで教授や学生たちに、進化論の証拠をたずね、進化論は信仰であることに気づかせ、神の存在について考えさせる様子を撮影したものです。

是非、最後までご覧ください。

www.youtube.com

ネアンデルタール人は、よく似ている

昨年12月、ネアンデルタール人は、文化的にも解剖学的にも我々によく似ているという話をしました。

darwinkieta.hatenablog.com

 

このブログでは、オーストラリアのクリスチャン団体”CMI=Creation Minisitries International”の記事を時々紹介しています。

creation.com

 

今回は、このCMIという団体が作成した、ネアンデルタール人に関するビデオ(日本語字幕付き)"Neanderthal Man looks like you and me"をご紹介します。日本語字幕が表示されない場合は、画面右下の「歯車f:id:darwinkieta:20190218162133j:plain」をクリックすると、日本語を字幕として選択できるようになっていますので、字幕を表示してご覧ください。

 

恐竜の骨:炭素法では4万年以内!

「なぜ恐竜は絶滅したのか」については、さまざまな仮説があります。例えば、氷河期によって死に絶えた、火山の噴火や隕石が衝突して絶滅したなど

それらに共通するのは、大きな気候変動(=低温)によって死に至ったとするものです。

 

進化論の考え方では、恐竜は約6500万年前に絶滅し、人類は約40万年前に誕生した、とされています。従って、恐竜と人間の時代は、かぶっていない、つまり遭遇していないことになっています。

 

ところが、カンボジアアンコールワット遺跡に彫られているステゴサウルスのような生き物、アメリカのユタ州の洞窟に描かれているアパトサウルスのような生き物、などの作品は「恐竜」という言葉や、恐竜の化石が発見されるよりも前に描かれました。

これらの彫刻や壁画は、あまりにもリアルなので実際に恐竜を見て描いたのではないかと言う人もいます。詳しくは、下記の記事をご参照ください。

恐竜は人間と同じ時代を生きていたのか? - 若い地球と進化論

 

また、世界各地に似たような「竜の物語」が伝わっていますが、そこで描かれる竜の姿は、恐竜と非常によく似ています。竜は「辰」という漢字で表され、いわゆる干支の動物のひとつです。干支の歴史は、紀元前1000年以上と言われていますが、辰以外の動物は、現存していることから、当時、人間は竜、つまり恐竜を目撃していた、あるいは、見たという先祖からの言い伝えがあったのではないか、という説もあります。

 

ちなみに「恐竜(dino・saur)」という言葉は、1850年頃、イギリス人のリチャード・オーウェンによって造られましたが、彼は、ダーウィンの進化論に猛烈に反論していたことで知られています。

  

今年は年初から、年代測定についての記事「放射性炭素年代測定」と「カリウム・アルゴン法」について取り上げてきました。記事のポイントは、

①さまざまな仮定や前提条件があるので、測定結果が絶対に正しいとは言い切れない

②(進化論によって)数億年前とされているサンプルが、炭素法によって10万年以内という結果がでても、進化論は正しいという信念(バイアス)があるので、測定結果の方を間違い(エラー)としてしまう可能性がある

ということでした。

 

今回は、これらのことを念頭に、恐竜の年代測定について取り上げてみます。

 

今回ご紹介するのは、個人の研究者が公開している、Carbon-14 dating dinosaur bones 「恐竜の骨:炭素法C14で測定すると40000年以内」というウェブサイトです。

 

ウェブサイトは英語ですが、いまはやりのAIでGoogle翻訳してみました。日本語がこなれていないため、かなり難解な文章となっていますが、おおよその内容は、つかめるのではないかと思います。

http://newgeology.us/presentation48.html

 

前半の内容におけるポイントは、

・2007年~2011年に、恐竜の骨のサンプルを、ジョージア大学(アメリカ・ジョージア州)の応用アイソトープ研究所で、炭素(C14)法によって測定したところ、22000年~39000年前という結果がでた。

・これらの結果を、アジアオセアニア地球科学学会などで発表したが、後に要約が削除された。「それらのデータには明らかな間違いがある」という理由だった。

・サンプル依頼当時、応用アイソトープ研究所では、それが、恐竜の骨だとは知らされていなかった。後に、恐竜の骨だとわかると、ジェフ・スピークマン所長は、サンプルの年代測定を断るようになった。

 

ここまでの話は、下記のYoutubeでみることができます。

www.youtube.com

英語が苦手という方もいらっしゃると思いますが、画面右下の「歯車」をクリックすると、英語の字幕が表示され、ナレーション速度を調整することができます。

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 炭素法による年代測定の信頼性が低いとされた理由は、持ち込まれた恐竜の骨が、細菌によって「汚染」され、その影響によって、測定結果が新しくでた可能性が指摘されたためです。勿論、ウェブサイトでは、あらゆる「汚染」の可能性をとり除いた、と反論しています。

 

細菌がくっつくほど「生体」であること自体が驚きですが、恐竜の(化石化していないという意味で)「生」の組織については、このウェブサイトの中でも紹介されている、メアリー・シュバイツァー博士(アメリカ)による、ティラノサウルスの大腿骨の研究があります。

ご紹介するビデオは、Creation Ministries Internatioalというオーストラリアのクリスチャン団体が作成しました。日本語字幕が表示されない場合は、画面右下の「歯車f:id:darwinkieta:20190218162133j:plain」をクリックすると、日本語を字幕として選択できるようになっていますので、字幕を表示してご覧ください。

 

恐竜の骨などの古生物や岩石の年代測定には、「誤差」と「汚染」の問題を避けることができません。何十億年というように、年代が古いものの場合、測定を単純化するための仮定が必須となるので「誤差」が問題となります。また、今回のように、測定年代が、従来の仮説をくつがえすほど新しければ、目的と違うものを測定しているという「汚染」が問題となります。

 

前回の記事でも触れましたが、溶岩の測定結果については「過剰アルゴン」の存在が、実際よりも古い年代を示すことがわかっていながら、測定結果である何十億年という年代を受け入れています。

その一方で、炭素法による恐竜の骨の測定結果については、「細菌による汚染がある」として、測定結果を認めないだけでなく、測定することすら拒否しています。このような態度は、決して科学的とは言えないように思います。

科学者たちは、地球は古い、恐竜は古いという固定観念、そうあるべきだという信念を守りたいだけなのかもしれません。

 

ご紹介したウェブサイトの後半には、トリケラトプスや中国で発掘された恐竜の軟部組織についての記事があります。ご興味のある方は是非、読み進めてみてください。

もっと「昔」は測れるの?:続・年代測定のナゾ

前回の記事:「昔」は測れるの?:炭素年代測定のナゾ - 若い地球と進化論

では、炭素を使った年代測定法についてお話ししました。

 

炭素年代測定法のポイントは、

① 5~10万年前までしか測れない

② さまざまな仮定(前提条件)があり、測定はしているものの、実際は推定しているに過ぎない、とうことでした。

 

今回は、炭素では測れない昔、つまり10万年以上の、もっと古い「昔」を測定する方法についてお話しします。前回半減期」って何?って思う方もいらしたと聞いたので、半減期について、少し詳しく説明してみたいと思います。

 

 

 

半減期とは?:年代測定法の原理】

 

全ての年代測定法に共通ですが、年代"T"を求めるために必要な情報は、測定する物質(元素)の初期値(その物質が生まれたときの数値)"V₀"、どのように減っていくか、という規則性"R"、そして、物質の現在値(測定結果)"V"、以上3つです。

 

「炭素測定法」を例にとれば、下記のようになります。

V₀(初期値):現在の空気中のC14/C12の比率(過去も現在と同じ比率だと仮定)

R(規則性):C14の半減期=5730年(過去に変化なしと仮定)

V(測定値):測定する標本中のC14/C12の比率( 過去に外部環境とC14のやりとりは、なかったと仮定)

 

これらの関係を式で表すと、

V = V₀ x 1/2 x 1/2 x 1/2・・・

ここで、VとV₀の関係が1/2回かけたもの(1/2のn乗)だったとすると、

T = 5730年(半減期) x n

となります。

 

半減期」を難しく感じる理由のひとつは、規則性"R"、すなわち、一定の時間に減る量が時間とともに変化するからではないでしょうか。

 

《ケーキの例え》

ケーキを例に説明してみましょう。

ケーキを少しずつ食べるとした時、普通は、 もとの量(初期値=全部)に対して一定の割合を決めて、食べていく(減っていく)と思います。下の左図では、ケーキの「8分の1」カットずつ、つまり12.5%ずつ減る「等分」という考え方を示しています。このように食べていけば、8回食べると、ケーキは全部なくなってしまいますね。

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等分と半減の比較

一方、右図では半減期の考え方を示しています。常に残った量の半分ずつ食べて(減って)いくと、青(50%)赤(25%)緑(12.5%)紫(6.25%)というように、回を重ねるごとに、食べる量がどんどん小さくなり、7回目の水色は0.78125%となります。

(8回目のピンクの量は、本来は水色の半分である、0.390625%になるはずですが、8回目で終了としたので、水色と同じ、0.78125%の大きさで示されています)

 

いかがでしたか?少しはイメージはつかめたでしょうか?

 

 

 

【もっと「昔」を測るには?:カリウム-アルゴン法】

 

化石や地層をみたとき、いつできたのだろう、と疑問を感じたことはありませんか? 実は、前回とりあげた「放射性炭素測定法」によって、化石(生物)や石炭(植物)だけでなく、石灰岩や大理石など炭素を含む岩石も測定することができます。

 

けれども、前回お話ししたように、化石や地層は、炭素法では測れない位、古いものである、という「先入観」があり、もし測れた(つまり数値がでた)としても、それは測定誤差(間違い)なので、測る意味がない、と考えるため、化石や地層の年代決定に炭素法が採用されることはありません。

 

そこで、化石や地層の年代測定には、炭素よりも「半減期」の長い元素を利用した方法が用いられます。その中で、最もよくつかわれるのが、カリウム-アルゴン(K-Ar)法です。この方法によって、溶岩の年代を推定することができるとされています。

 

カリウムーアルゴン法の原理》 

カリウムーアルゴン法の原理について説明します。炭素法においては、不安定なC14(炭素14)が安定なN14(窒素14)に変化する性質が利用されます。同様に、カリウムーアルゴン法においては、不安定なK(カリウム)が安定したAr(アルゴンガス)に変化するという性質を利用します。

 

溶岩は火山の噴火によってできます。噴火時の溶けた溶岩は、固まる過程で緻密な構造になるため、噴火後に溶岩の中で起きた、カリウムからアルゴンへの変化、すなわちアルゴンガスは、溶岩の中に閉じ込められていきます。こうして、時間とともに、カリウムから変化し、蓄積したアルゴンガスを測定することによって、噴火の時期を推定できるというのが、この方法の原理です。

 

先ほどのように、年代"T"を求めるために必要な情報を下記に記します

V₀(初期値):噴火時の溶岩中のアルゴンガス

R(規則性):K(カリウム)の半減期=12億5千万年

V(測定値):固まった溶岩中のアルゴンガス

 

カリウムーアルゴン法がよく使われる理由は、初期値(V₀)をゼロとみなすことができるという利点があるからです。なぜかというと、噴火直後の溶岩はとても熱いため、溶岩が固まる前に存在していたアルゴンガスは、全て消失したはずである、だから、目の前の溶岩で測定されたアルゴンガスは、全て噴火以後のものである、という仮説を立てられるからです。

 

しかし、実際の溶岩は非常に分厚く、固まる前に全てのアルゴンガスが消失したと考えるのは無理があるのではないか、ということは、専門家の間でも指摘されていました。

 

実際、いつ噴火したのかがわかっている溶岩をサンプルとして、アルゴンガスを測定したところ、下記の結果であったことが知られています。

 

溶岩の名前 場所 火山噴火の年度

K-Ar法(アルゴンガス)による年代

Hualalai玄武岩 ハワイ AD1800年頃 160~2100万年前
Kilauea玄武岩 ハワイ 200~1000年以内 800~4290万年前
Mt.Etna玄武岩 シチリア AD1792年 35万年前
Sunset噴火口玄武岩 アリゾナ AD1064年 27万年前
Mt.Lassen斜長石

カリフォルニア

AD1915年 11万年前

 

この表から、アルゴン法はあてにならないことがわかります。また、噴火の年度が新しければ、アルゴンガスが少ないかと言えばそうでもなく、火山噴火の年度とアルゴンガスの測定結果の間には、何ら関係はありません。

これは、噴火当初、溶岩の中に残っていた、いわゆる、過剰アルゴンの量によって、測定結果が決まったからなのです。

 つまり、過剰アルゴンによって、実際の年代よりも古い年代だと測定されてしまったのです。

 

以上からわかるように、放射性年代測定法は、どんな元素を使ったとしても、その結果の解釈には十分な注意が必要です。また、放射性物質を使った方法以外であっても、過去を測るには、仮定や前提条件が必ず存在する、ということは、是非覚えておく必要があると思います。

 

特に、測定する年代が古いほど、さまざまな影響を受けている可能性が高く、仮定が真実であったという可能性は、逆に下がってくるのです。

 

 

今回の記事は、下記の本を参考にさせていただきました。韓国ハンドン大学教授(地質学者)イジェマン先生の書いた本です。是非、一度手にとってご覧になってください。

  

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「昔」は測れるの?:炭素年代測定のナゾ

みなさま、ハッピーニューイヤー!

 

年改まって2019年、最初の話題は「年代測定」についてです。

 年代測定と言えば、放射年代測定のことを言います。放射年代測定法とは、不安定な物質(=放射性物質が、放射能を放出する(=崩壊といいます)ことによって放射能を持たない)安定な物質に変化していく性質を利用し、ある物質に残存する放射性物質の量を測定することで、その物質がどれくらい古くから存在するのかを推定する方法です。

 

昨年、私が持っている、アンモナイトの化石が「いつの年代のものか」を知りたくて、炭素を使って年代測定をしてくれるある会社に問い合わせしたことがあります。すると電話で応対してくれた方が、「炭素では、せいぜい10万年前までしか測れないから、やっても意味ないよ」と回答してくれました。

 

今回は、この回答をもとに、

・炭素で測れる年代はいつまでか?

・年代測定をやる意味

について考えてみたいと思います。

 

 

【炭素で測れる年代はいつまでか?】 

炭素を使った「放射年代測定法」を「放射性炭素年代測定法」といいます。炭素(以下Carbonを意味するCで表します)は、原子番号6の元素です。「水兵、リーベ、ぼくのふね・・・」と口ずさんだ方は、理系かもしれませんね。

 炭素には、C12、C13、C14などの、陽子数(=原子番号)が同じで中性子数が異なる、同位体があります。C12は陽子6個と中性子6個を持ち、C13は陽子6+中性子7、C14は陽子6+中性子8、となっています。

 このうち、C14は不安定であるため、β線という放射線を放出し(中性子β線を放出し、陽子に変化することを、β崩壊といいます)、陽子7個と中性子7個を持つ、窒素14(以下Nitrogenを意味するNとします)に変化します。

 これらの変化を式で表すと、下記のようになります。

 

  C14 ⇒ N14 + β線

 

また、自然界における、C14の循環サイクルは、下記のようになっています。

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出典:「創造」の疑問に答える(バイブル&クリエーション)

《解説》C14は太陽から放射する宇宙線が、N14にぶつかると生じると考えられています。動植物が生存中は、食餌や呼吸により、炭素の出入りがあるため、 動植物の体内におけるC14/C12比は、大気中と同じだと考えられます。しかし、動植物が死ねと、炭素の出入りがなくなるため、安定しているC12は体内に留まりますが、不安定なC14は、β崩壊してN14として大気中に逃げていくので、C14/C12比は減少していきます。炭素年代測定は、この性質を利用しているのです。

 

 

C14のように不安定な放射性物質は、放射線を放出しながら、安定な物質に変化していくわけですが、この変化する速度は、通常半減期であらわされます。半減期とは、放射性物質が半分になる、つまり50%にまで減少するのに要する時間のことです。半減期は、放射性物質によって異なり、C14の半減期は、5730年です。

 

続いて、放射性炭素年代測定法では、なぜ「10万年前までしか測れない」のか、について解説します。

 

自然界では、不安定なC14の割合は、安定したC12の大体1兆分の1程度だと言われています。この1兆分の1から、半減期を繰り返すことで、どんどん少なくなっていくのですが、やがて、これ以上は測れないほど小さい値(これを測定限界といいます)に達します。測定限界は、1/1000だと言われ、わかりやすい例えでは、1メートルの物差しの1/1000が1ミリメートルに相当します。

 

半減期をどれくらい繰り返すと、測定限界に達するのかは、簡単な計算で求めることができます。例えば、半減期

・2回繰り返すと、元の量の1/4(2の2乗)

・4回繰り返すと、元の量の1/16(2の4乗)

・8回繰り返すと、元の量の1/256(2の8乗)

 

というように、N回繰り返すと、「2のN乗分の1」になる(指数関数的に減少する)ことがわかります。これを10回繰り返すと、測定限界を超え、1/1024になります。(実際、計算機で2x2x2x2x・・・と、2を10回かけて、ご自分で確かめてみてください)

 

つまり、C14は、半減期5730年を10回繰り返すと(5730年x10回=57300年)、測定限界を超えてしまうため、理論上、6万年前までしか測定できないのです。

 

 

【年代測定をやる意味】

ここで「意味」とは、二つのことを意味しています。

ひとつめとして、化石は、10万年前よりもはるか昔(例えば、アンモナイトは3~4億年前)に生きていたとされている。だから、測定できるほどのC14が残っているわけがない。実際にC14が検出された(つまり10万年以内という結果がでた)としても、それは何らか(例:異物の混入など)の間違いだからやること自体が無駄である、というものです。電話で回答してくれた方が意味したのは、こういう意味です。

 

ふたつめの意味は、「炭素」以外の全ての放射年代測定法にも共通して言えることですが提条件(仮定)があるということです。

 

炭素年代測定法の仮定と問題点を下記に示しておきます。

 

①C14の崩壊速度(半減期)は常に一定である

半減期5730年が常に一定であるかどうかは、実際のところよくわかっていません。多くの科学者が、半減期は環境の影響を受け得ると考えています。

 

②大気中のC14/C12の比率は、全く変化しない

上の図で示されるように、C14は宇宙線によって生成されますが、地球の磁場は宇宙線を防ぐことがわかっています。つまり磁場が強いとC14が減るわけです。過去に地球の磁場は大きく変動してきたので、C14も変動してきたはずです。また火山活動が活発な時は、CO2として、安定したC12の比率が増えるので、その時代のC14/C12比は、現在よりも低くなるしょう。つまり、C14/C12比は、地域や年代によって差があったと推測され、全く変化しないという仮定は、現実を反映していないかもしれません。

 

③生きている動植物と大気中のC14/C12比は等しい

生きている動植物内のC14/C12比を測定しても、大気中のC14/C12と異なった値がでることが報告されています。

 

④生体の死後、C14やC12の出入りはない

動植物の呼吸や食餌摂取が途絶えれば、理論上、炭素の出入りがないはずですが、水や外部物質との接触など、実際は、死後にも炭素が出入りした可能性も否定できません。

 

以上のことから、年代測定は、さまざまな前提条件(仮定)のもとに計算された数字であり、計算で求められたから正しいという保証はありません。あくまで、仮定が正しければという前提があり、ひとつの目安として考えた方がよいでしょう。

機械を使って「測定」はしていますが、実際は「推定」している、と言った方がよいのかもしれません。

 

 

【まとめ】

「炭素では、せいぜい10万年前までしか測れないから、やっても意味ないよ」と回答してくれた方は、決して悪気があったわけではなく、進化論の考え方にそって、化石は数億年前の産物であると信じていたのです。

 

このような考え方を先入観ととらえることもできるでしょう。なぜなら、自分で実際に数億年だと確かめたわけではないからです。ですから、化石や骨などの標本からC14が検出されたとしても(すなわち、6万年以内を意味する)、「それは、数億年前のものだ」という先入観があるので、先入観が間違いである、とは気づかずに、測定結果が間違いである、と結論づけてしまうのです。

 

炭素法は、動植物などの生体にしか利用できません。動植物以外の岩石や鉱物の年代を測定するには、ウラン-鉛法やカリウム-アルゴン法などがありますが、これらの測定法にも、炭素法同様、前提条件があります。これについては、また別の機会にとりあげたいと思います。 

  

今年も「若い地球と進化論」をよろしくお願いいたします

アダムの歴史性:アダムは実在したのでしょうか?

メリークリスマス!

 

今日は、イエス・キリストの誕生をお祝いする日です!

 

先週の土曜日から今日にかけて、カトリックプロテスタントなど宗派を問わず、どこのキリスト教会でも、クリスマスを祝うイベントが行われました。参加された方も多いのではないかと思います。

 

クリスチャンにとってはもちろんのことですが、実は、クリスチャンではない方にとっては、クリスチャン以上にイエス・キリストの誕生(クリスマス)には特別な意味があるのです。

 

それは、最初の人間であるアダムの堕落によって人類に入った「罪」が、聖書によれば、最後のアダムである「イエス・キリストによって贖(あがな)われ、全ての人類の罪が赦されたからです。(聖書をお持ちの方は、新約聖書の「コリント人への手紙第一」15章45節をご参照ください)

 

そして、イエス・キリストが、自分の罪の身代わりとなって死んでくださったことを信じるだけで、アダムの堕落以来失っていた、神の子どもとしての権利をとりもどし、例え、肉体が滅びても、天国で永遠に暮らすことが約束される、のです。

 

最後のアダムである、イエス・キリストが歴史上存在したことは事実ですが、最初のアダムについては、どうでしょうか?

 

もし、最初のアダムが実在しなければ、「最後のアダム」という言葉に意味が失われ、聖書に書かれている「(最後のアダムは)生かす御霊となった」ことに実体がなくなってしまいます。

 

つまり、イエス・キリストがなぜ誕生したのか、クリスマスをなぜ祝うのか、という意味を考えるとき、アダムの歴史性は、非常に重要なことがらなのです。

 

というわけで、今回は、2004年にNatureという雑誌に載った"Modelling the recent commonancestry of all living humans(現存する全人類の、直近の共通祖先に遡る)"という論文についてのレビュー"Pedigrees for all humanity"を紹介します。

 

このレビューによれば、論文で明らかになったことは、

・人類のたどってきた移動の歴史をもとに、数式モデルにあてはめて検討した結果、現存する全人類の共通祖先は、2-3千年前に生きていた、ある個人にたどりつく。

・その個人から、さらに2-3千年さかのぼると、その時代に生きていた人全員が、現存する全人類の祖先であるか、現存する子孫を誰も残せていないかのどちらかである。

というものです。

 

以下、簡単に解説します。

私たちの親は父母合わせて2人、もう1世代さかのぼると、父方の父母、母方の父母、合わせて4人、というように、私たちの先祖は、さかのぼるにつれて、指数関数的に増えていきます。人口サイズが1000人だとして「ひとりの共通祖先にたどりつくためには、何世代(世代数=Nとする)さかのぼればよいのか」という問題を考えたとき、

N=log21000、N=だいたい10世代、さかのぼればよいとわかるのだそうです。

この式をもとに「現在の人口」と「世代交代の年数」を考慮に入れて計算すると、2~3000年前に生きていた共通祖先が求められるそうです。ここで注意すべき点は、当時、このひとりの共通祖先以外にも人間は存在していた、ということです。

さらに、このひとりの共通祖先から世代をさかのぼるごとに、共通祖先が一人、また一人と増えていきます(ちょうど砂時計のようなイメージでしょうか)。

最終的に(合計して4~6000年前)、当時の人口集団は、

a)現存する全人類の共通祖先となるか、あるいは、

b)今に至る子孫を全く残せていないか、

のどちらかに振り分けられるそうです。つまり、当時(4~6000年前)の集団の中に、現存する人類の一部の祖先という(中途半端な?)人は存在しない、ということになるのだそうです。

 

ちょっと難しいですが、ものすごく簡単に言うと、全人類は、およそ6000年前に生きていた、たった一人の人間によって始まった可能性がある、ということです。

また、聖書を文字通り解釈するならば、アダムが神さまによってつくられたのは、約6000年前と計算することができます。

 

以上の2つのことを考えるならば、現存する全人類の祖先は、アダムである、という可能性は決して否定できないのです。

 

原著は、本来有料ですが、下記サイトにて一部を読むことができます。

Pedigrees for all humanity | Nature

 

まるで「恐竜戦車」!よろい恐竜からわかること

クイズ:この怪獣は何でしょう?

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そうです。「恐竜戦車」です。

 

ウルトラセブン第28話「700キロを突っ走れ!」にでてきましたね。ウィキ先生によれば、地球防衛軍が開発した新爆薬(スパイナー)を奪取するための切り札として、キル星人が恐竜を改造してサイボーグにした怪獣だそうです。 

 

今回は、その恐竜戦車のような化石が、カナダ・アルバータ州で偶然発見されたという話題です。「鎧をまとった奇跡の恐竜化石」というタイトルで、1年以上前にナショナルジオグラフィックで紹介された記事を、下記にリンクしておきます。 あらかじめお断りしておきますが、戦車の方は発見されておりません。あしからず。

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

この記事によれば、発見された恐竜は、全長5.5m、重さ1.4トンもあるノドサウルスの新種と考えられるそうです。実際に発掘されたのは、上半身だけなので、この半分の長さになります。

 

戦車は発見されなかったのに、なぜ、恐竜戦車かって?

それは、記事を読んで「鎧のような装甲=戦車」+「上半身だけ=足がない」恐竜⇒恐竜戦車、というわけなのです。

 

(写真)ロイヤル・ティレル博物館(カナダ・アルバータ州)に展示されている化石

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https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nodosaur.jpg

 これだけ、立体的で完全な恐竜の化石は歴史上とても珍しいことだと思います。けれども、私が一番目を引いた箇所は、実は「化石のできかた」についてです。

日本語版の記事には詳しく書かれていませんが、オリジナルの英語版には、ずっと詳しい説明が載っていて、こんな風にかかれています。

 

ある日、恐竜が川で死んだ。洪水によって流されてきたのかもしれない。バクテリアによる分解が進み、死体にガスが充満していた。おなかを上にした状態で水面に浮き、川を下り、とうとう海にでた。

数週間、水面を漂った後、おなかのガスが破裂し、背中を下に海底へと沈んでいった。そして、どろどろした泥に埋もれていった。

ミネラル(鉱物)が皮膚に浸みわたり、生きたままの姿をつつみこむように埋もれていき、化石となった。

  

勘のいい読者の方は、もうお気づきですね。

 

そうです。オーストラリアで行われた、イリエワニの実験(詳細は、過去ログクロコダイルが死んダンディー? - 若い地球と進化論をご参照ください)によれば、ワニが水中で死ぬと、2週間以内に腐敗が始まり、水面に浮いた後、死体が完全に底に沈むまで2カ月程かかりました。そうして沈んだ死体の四肢は、バラバラになってしまいました。

 

著者は結論としてこう述べています。

死んだと同時に、死体を完全に覆いつくす土砂の堆積が同時に起こらなければ、全身骨格を保ったまま化石になることはむずかしいだろうと。

 

イリエワニの実験は、全く流れのない池で行われていますが、今回の記事にあるように、全長5.5mもの恐竜を押し流すような洪水であれば、死体の損傷スピードはさらに早まっただろうと推測されます。

 

しかし、記事を読むと、上半身がほぼ完全に保たれているわけですから、大洪水だけではなく大洪水と同時に大量の土砂で、5.5mもの恐竜が、死体が損傷する間もなく、一瞬にして埋め尽くされたはずです

 

だとすれば、この恐竜は、死んでから洪水によって流された、のではなく、大洪水に巻き込まれて死んだ、と考える方がつじつまが合うように思います。

 

なぜなら、死んだまま、のんきに川下りしていては、あっと言う間にばらばらになってしまうので、死ぬことと、洪水によって流されることと、土砂に埋もれること、は同時に起こらなければ、このような奇跡的な化石はできないからです。

 

この大きな恐竜を押し流し、巻き上がった土砂で、全身を完全に覆い、埋め尽くしてしまうような洪水とは、どれほど大きかったことでしょう。そのような大洪水が文字として記録されている書物は、聖書の中だけなのかもしれません。

もし、お手元に聖書があるなら、是非、旧約聖書の創世記7章「ノアの洪水」をお読みになってください。大きな恐竜を一瞬にしてのみこんでしまう、大洪水のイメージが具体的に膨らむのではないかと思います。