若い地球と進化論

地球の歴史や人間の起源について考えるブログ

進化論のアキレス腱

みなさま、あけましておめでとうございます。

 

ブログを開設して1年余が経過しました。定期的にチェックしてくださっているみなさま、心より感謝申し上げます。また、たくさんの質問や「いいね!」また、励ましのコメントありがとうございます。

 

このブログのタイトルを「創造論と進化論」ではなく「若い地球と進化論」にした理由は、結局のところ、争点になっているのは「時間」だからです。これまで、地層や化石、遺伝子など、さまざまな科学的証拠について、進化論と比較しながら、進化論以外の解釈が可能であることを示してきました。

 また、信仰によって科学を定義する(例えば、聖書には起源についてこう書いてある。聖書に間違いはないから、科学的にも真実だと言い張る)のではなく、科学的に信仰を定義して(科学には再現可能な実験科学再現不能な歴史科学があり、歴史科学は世界観の影響を受けていることを明らかにして)きました。つまり、進化論は、検証ができない点で(厳密な意味で)科学ではなく、信仰の領域に含まれるということです。繰り返しになりますが、実験科学と歴史科学には明確な違いがあることを理解しておく必要があります。

 

進化論は、誤解を恐れずに言えば「時間」を神とする信仰です。同じ信仰なのに、創造論が科学の世界では受け入れられず、進化論が受け入れられるのは、「時間」には「人格」がないので、宗教であるとは認識されないからかもしれません。

 確かに、時間=tは、すでに物理や化学の世界でなじみが深く、tを使った関数は、いたるところでみることができます。

 例えば、自分の運転する車が走る距離を知りたいとき、はっきり意識していなくても、頭の中では、1次関数を使っています。

 L=vt (L:走行距離、v:時速、t:時間)

 では、同じように数式を使って進化論の考え方を表すとどうなるでしょうか。進化論は、時間とともにAという生物がBという生物に進化したという考えですから、時間の関数f(t)を含んだ以下の式で表せるのではないでしょうか。

  A・f(t)=B

ダーウィンの進化論は、某公共放送の「〇〇が来た」という番組でわかるように、まるで事実であったかのように扱われています。つまり、上の式は、証明された公式(真理)だと考えられているわけです。けれども、この式が成り立つためには、以下の条件が満たされている必要があるのです。

  • Bの進化上の祖先である、Aの存在が明確である
  • f(t)は進化のメカニズムを表し、時間の関数であらわすことができる
  • そのメカニズムは時間に対して常に一定である。

 しかし、ここで注意しなければならないのは、上記3つの条件は何一つ満たされていない、つまり全てがナゾであるということです。

 

第一に、現存する生物Bの、進化上の祖先A、とされる生物(化石)はまだ見つかっていません。確かに、進化上の祖先とされる生物の候補が見つかった、と報道されることがありますが、研究者の見解が一致しているわけではなく、後で違ってたとなっても、それが訂正されることはありません。ミッシングリンク(失われた環)と呼ばれるものは、まだミッシング(見つかっていない)のままなのです。

  例えば、かつて人間とチンパンジーの共通祖先としてもてはやされた、アウストラロピテクス“ルーシー”。脳が大きくなる前に直立歩行を始めたと言われていましたが、よく観察すると、足指骨の形状は、樹上生活をする猿によく似ていること、背骨にヒヒの椎骨が混じっていたことが報告されており(下記記事参照)、それが、本当に人間の祖先を示しているのか、異をとなえる研究者も少なくありません。中間種とされるこれらの化石は、サンプルが希少であるため、他の研究者による追試験ができず、発見者の主観を大きく反映しています。ここも実験科学と大きく異なるところです。

 

次に、進化のメカニズムとして確かなものは、何もわかっていません。突然変異が進化の原動力だとされていますが、突然変異によってある種が別の種に変わった例は、自然界、実験室を含めて観察されたことがありません。それどころか、観察される突然変異のほとんどは改善ではなく改悪、つまり遺伝子に欠陥を持っています。

 (たまに起こる)良い遺伝子変化だけが蓄積して進化し、(より多く起こっている)悪い遺伝子変化は、機能をもたない、いわゆるジャンクDNAに起こったのだとする考え方もあります。しかし、ゲノムの研究が進み、遺伝学が進歩すればするほど、ジャンクDNAの多くは、実はジャンク(ごみ)ではなく機能を持っていることがわかり、このような考え方も否定されてきています。

 「ヒトゲノムにおける機能をもつ遺伝子の上限」という論文を紹介します。言い換えると「ジャンクDNAには下限がある」、つまり、ジャンクDNAがある割合以下だと(機能を持つ部分にも)突然変異が起こるので、個体は死に絶えてしまう(=進化論の考えが成り立たなくなる)という内容です。著者は進化論者なので、そんなことはありえないと述べていますが・・・英語力に自信のある方は、是非読んでみてください。

 

変化が時間に対して一定であるという考え方は、放射性年代測定でもでてきましたが、斉一説といいます。進化であれ、放射性崩壊であれ、あるメカニズムが(進化論がいうように)過去数十億年に渡って常に一定であったと仮定すること自体、無理がありますが、数十億年という年代は、その無理な仮定のもとに生まれました。

 

以上のように、進化論は、あたかも真理であるかのように喧伝されてはいますが。実はナゾだらけの学説なのです。証明できないことが証明されたかのように、報道されることがありますが、その主張に異をとなえている科学者も少なくありません。

 最後に「進化論のアキレス腱」というDVDのビデオクリップを紹介します。DVD本編にも登場する科学者たちの意見にも是非、耳を傾けてください。DVDのご購入に興味のある方は、画面右上からリンクに移動できます。

 

www.youtube.com

 

今年も「若い地球と進化論」をよろしくお願いいたします。

「親知らず」は、痕跡器官?

久しぶりの投稿です。今回は「親知らず」として有名な、第三大臼歯についてのお話しです。

 

私ごとですが、9月末に右下顎の奥歯にインプラントの手術をしました。手術前に何度かレントゲンをとりましたが、私の場合は「親知らず」に相当する第三大臼歯が写っていませんでした。日本人では、約30%がこのタイプだそうです。ちなみに私の妻は、上下左右とも第三大臼歯が生えています。

私たち夫婦が通っている、歯医者さんのご厚意を得て、私(親知らずなし)と妻(親知らずあり)のレントゲンをお借りしてきました。

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クイズ:親知らずがあるのはどっち?

親知らずの名の由来は、20歳以後に生えてくることが多いので、親も知らないから「親知らず」、英語では、分別のつく頃に生えてくるので、Wisdom Teeth (智歯)とも呼ばれます。

 

第三大臼歯は、上下左右の2本の奥歯(第一、第二大臼歯)のさらに奥から生えてくるのですが、時として、奥歯の後ろに十分な余裕がないままに生えてくるので、まっすぐ上に向かって生えてこないことがあります。そうすると、痛みがでたり、歯の周囲に感染や炎症を起こし、抜く必要がでてくる場合があるのです。

 

進化論では、その存在が現代人には無用(あるいは問題を起こす)ものを「痕跡器官」といいます。痕跡器官とは、進化の過程において、完全に退化しきれず残ったものというわけです。進化論によれば、何かを獲得すれば進化といい、一度獲得したものを失えば退化といいます。つまり、進化の過程で退化が起こるというわけです。まるで魔法のようですね。

 

痕跡器官」と言うと、いわゆる「盲腸」として知られる「虫垂」や「しっぽ」の名残りとされる「尾てい骨」などが有名かもしれません。けれども、かつては痕跡器官として考えられていた、これらの臓器も、現代医学の発展により、虫垂は免疫学的に重要、尾てい骨は、解剖学的に筋の付着部としてなくてはならない役割を果たしていることが知られています。つまり痕跡器官ではなかったのです。

 

では「親知らず」はどうでしょうか?「親知らずは、問題ばかり起こすので、現代人には不要であり、進化の痕跡器官である」という考え方がある一方で、食生活・食習慣の違いが、第三大臼歯の出方に影響を与えるのだという考え方もあります。

 

高度に加工されていない、生に近い硬いものを食べる民族では、年を取るにつれ、歯がすり減っていくことでしょう。そして、野球で言えばリリーフのように現れる、第三大臼歯の存在は、健康な食生活を営む上で非常に重要と思われます。また、加工された軟らかいものばかりを食べる、現代風の食生活を送っていると、顎が十分に発達しません。すると、親知らずが生えてくるスペースがなく、トラブルを起こしやすくなるという考えの方が、説得力があるように思いますが、いかがでしょうか?

 

 

クイズの答え:「右」が親知らずありのレントゲンです。

地球の誕生日

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地球は一体いつ生まれたのでしょうか?

 

【はじめに】

一般的な考え方では、地球の年齢は約46億年とされています。その根拠となっているのは、アメリカの地球化学者である、クレア・パターソン(Wikipedia)による「隕石の年代測定に関する研究」です。彼が測定したのは、こんな隕石でした。

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キャニオン・ディアブロ隕石(Wikipedia

パターソンは、シカゴ大学の学生時代に、鉛による健康被害を研究しました。その後、鉛の放射性同位体の比を用いた年代測定法によって、隕石の年代を推定し、地球の年齢としたのです。パターソンの測定結果については、地球と隕石の起源は同じ、としてよいのか等、さまざまな意見があります。興味のある人は、地球の年齢(Wikipedia)などの、リンクを参照してください。

 

パターソンが使った「鉛の放射性同位体」による年代測定法や、地球の年齢を推定するその他の方法については、原理が複雑なので説明はいたしません。

今回は全ての年代測定法に共通する問題点についてお話ししたいと思います。

 

【放射性年代測定法の原理】 

この「問題点」を説明するため「炭素年代測定法(炭素法)」と「カリウム-アルゴン法(アルゴン法)」を例に進めていきます。これらの年代測定法の詳細については、以下の記事も是非ご覧ください。

 

炭素法: 「昔」は測れるの?:炭素年代測定のナゾ - 若い地球と進化論

アルゴン法: もっと「昔」は測れるの?:続・年代測定のナゾ - 若い地球と進化論

 

「問題点」に入る前に、放射性年代測定法の原理と仮定についてお話しします。なんだか難しそうですが、わかりやすく言いかえるなら、

 

”y=ax+b”という式があったとして、そのものが原理に、abなどの定数仮定に相当します。そして、x測定結果を代入すれば、yとして年代が求められる、というわけです(実際の計算はこんなに簡単ではありませんが)。

 

放射性年代測定の原理について説明します。

第一に「昔」も「今」も、次のような反応が続いていることが大前提です。 

 

「昔」放射能をもつ物質A0(不安定)⇒放射能をもたない物質B0(安定)+放射線

「今」放射能をもつ物質A(不安定)⇒放射能をもたない物質B(安定)+放射線

 

上の式は、「放射能をもつAという不安定な物質」が「放射線を放出」して「放射能をもたない安定した物質B」に変化することを示しています。

物質AやBの横の数字は「時間」、すなわち「0=その物質が造られた時」「1=年代測定する時(現在)」を示しています。

 

第二に、昔と今を比較します。比較の対象は2つあります。

  

① A0とAの差(例:A=炭素法における「C14」)

② B0とBの差(例:B=アルゴン法における「アルゴン」)

 

このとき、A1やB=実際の測定結果、となりますが、A0やB0については、昔の事実なので測定することはできません。そこで、もっともらしい仮説によって、A0とB0を決めておく(=仮定)必要があります。

 

また、放射性物質が半分の量に減る時間は「半減期」として知られているので「半減期何回繰り返せば上記①や②の差が生じるのか」は計算で求めることができます。

そして、この結果をもって「”0”で示される時がいつなのか」、つまり、その放射性物質が誕生した年とするのです。

 

【年代測定法の仮定と問題点】 

 放射性年代測定法の仮定についてお話しします。年代測定法は、使用する放射性物質半減期が違ったとしても、共通する「3つの仮定」があります。そして、この仮定こそが問題なのです。

では、放射年代測定法の仮定と問題点についてお話しします。

 

1)初期値(ゼロ)がわかっている

初期値というのは、ある物質が造られた時、すなわち「0(ゼロ)=知りたい昔」時点で、その物質に含まれる、A0やB0の量のことです。これは、測定法ごとに決められていて、これを「初期値の設定」といいます。

例えば、炭素法では、空気中の全炭素(C12+C13+C14)に占めるC14の割合は、昔も今も変わらず一定の値であったと仮定されています。また、それだけでなく、植物も動物も生きてさえいれば、必ず空気を取り込むので、生体組織中のC14濃度は、空気中のC14濃度と等しいとも仮定されています。

また、アルゴン法では、溶岩が固まる時に、岩石中の全てのアルゴン(ガス=気体として存在)は、高熱によって消失したはずなので、B0=ゼロと仮定されています。これらの初期値が決まると、後々の計算が非常に単純化され、都合が良いのです。

 

けれども、物事はそう単純ではありません。C14は宇宙線によって生成されるのですが、宇宙線は地球の磁場の影響を受けています。例えば、磁場が強いと宇宙線が妨げられ、生成されるC14が減ります。また、火山活動が活発な時は、CO2が増え、C12が増えます。このように過去の磁場変動や火山活動によって、過去のC14濃度は、現在よりも低かったことが推測されるので、炭素法による測定結果は、年代を過大評価(実際よりも古いものだと)してしまう可能性があるのです。

炭素法同様、アルゴン法の初期値(B0=ゼロ)にも問題があります。溶岩が固まる時にアルゴンガスが消失しきれなかった可能性があるからです。噴火時に溶岩に残存したアルゴンガスは「過剰アルゴン」と呼ばれ、あり得ない程、古い年代を示すことが知られています(参考: 過剰アルゴン(輸送と捕獲過程))。例えば、噴火年度の知られている火山の岩石を、アルゴン法で測定したところ、実際の噴火年度よりもはるかに古い年代を示したという研究結果が発表されています。

 

火山と溶岩 場所 噴火年度

アルゴン法による測定結果

Hualalai玄武岩 ハワイ AD1800年頃 160~2100万年前
Kilauea玄武岩 ハワイ 200~1000年以内 800~4290万年前
Mt.Etna玄武岩 シチリア AD1792年 35万年前
Sunset噴火口玄武岩 アリゾナ AD1064年 27万年前
Mt.Lassen斜長石

カリフォルニア

AD1915年 11万年前

 

 2)半減期は一定である

環境や条件によって半減期が変化する可能性について、専門家の間でも意見が分かれています。しかし数千年、数億年という長い時間経過の中で、半減期が、計算通り一定だったと一体だれが保証できるのでしょうか?

 

3)閉鎖系が保証されている

閉鎖系とは測定に関わる物質について「外部からの出入りがない」とされる環境のことです。しかし、自然界において閉鎖系を証明することは非常に困難です。

例えば、年代を知りたい縄文式土器があるとします。この時、土器そのものを炭素法で年代測定するわけではありません。土器と一緒に発掘された貝塚や発見された地層中の炭化した木材の年代を測定します(参考:縄文土器の始めと終わり)。しかし、自然界に存在する貝や木材は、外気だけでなく、地下水や雨水、他の生物と接触したことでしょう。これはもはや「閉鎖系」ということはできません

閉鎖系について、文部科学省のサイト文化資源の発掘(1)C14年代測定の原理から、一部を要約して引用します。

C14による炭素年代測定法の原理に基づき、ある試料について正確な年代値tが得られる条件としては、半減期T1/2が正確に求められていること以外に、次の2項目があげられる。

ア 試料の炭素固定が行われた際の初期14C濃度が正確に解っていること
イ 試料が外界から隔離されてから、年代測定に至るまでの間、試料中の炭素は外界との交換がなく閉鎖系に保たれていたこと、

これらの2条件は、測定対象となる試料自身の性質に依存するが、試料が古くなるほど、初期14C濃度は不明確になるし、自然環境下に存在した際に炭素について閉鎖系が満たされていたかは明らかではない

  

上記で述べられているように、自然環境でみつかる試料中の炭素については、閉鎖系の条件は満たされていない可能性が高いのです。ですから、これらの仮定が成り立つ限りにおいて、放射性年代測定結果は意味を持つのですが、これらの仮定が保証されている可能性は、実は限りなく低いのです

 

これらの仮定(要件)を満たすことの困難さについては、「放射年代測定における基本的な問題」という論文を、是非お読みください。重要と思われる部分を要約して、下記引用します。

測定に用いられた試料は、各年代測定法で要請されている要件をきちんと満たしているのか。この点について、十分に客観的な見地から判断できるような基準を設けることが重要である。

しかし、実際には、このことが最も困難な点であり、しろ得られた結果から判断することも少なくない

 

引用部分を簡単に言えば「仮定が正しいかどうか、わからなくても、測定結果が合ってれば、それで良しとしましょうよ」ということです。

 

それでは「測定結果」「何」と合っていればよいのでしょうか?実は、この「何」こそが年代測定の「最も」重要なポイントです。年代推定結果よりも重要かもしれません。なぜなら、この「何」が決まれば、全てが決まるからです。

そして「現代科学の合意」によれば「何」に相当するのが「地球はかなり古い」という信念なのです。測定結果が、この信念に合っていれば、受け入れられるし、合っていなければ、間違いとされるのです

このような「現代科学の合意」のことをパラダイムといいます。

 

【まとめ】

科学には「実験科学」「歴史科学」があります。

実験科学については、実験結果をもとに議論を戦わせ、その結果によって、どちらが正しいかを客観的に判定することができます

しかし、歴史科学においては、議論を戦わせても、実験できないので判定できません。そこで「どちらの主張が正しいのか」の判定は「パラダイム」に沿って行われるのです。

 

以上から、地球の年齢は、現代のパラダイムによれば46億年となります。けれども、放射性年代測定は、さまざまな不確かな仮定の上に成り立っているので、その年齢が本当に正しいかどうかは、今のところわかりません、というのが良識のある答えだと思います。

 

今回の記事をまとめた動画を紹介します。 

 

7月はお休みしてしまったので、長くなってしまいました。少し難しかったでしょうか?もしよろしければ、感想・コメントを是非残していってください。

花粉のパラドックス

ご無沙汰しております。長らく更新されないのに、あきらめずにブログをご覧になっていただいる方、ありがとうございます(涙)

 

【失われた世界】

『失われた世界』という作品をご存じでしょうか?シャーロック・ホームズの著者として有名なコナン・ドイルにより、1912年に発表されたSF作品です。いろんな恐竜が登場する、この作品は映画化もされており、あのジュラシック・パークにも強い影響を与えたと言われています。

 『失われた世界』の舞台となったギアナ高地には、ベネズエラガイアナ、ブラジルにまたがるテーブル状のロライマ山(標高2810m)という山があります。 

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ロライマ山/Wikipedia

 

この山の地層は「ロライマ累層」と呼ばれ、水晶のアレナイト砂岩で構成されており、放射年代測定法によれば、少なくとも、17 億年前に形成された、と考えられているそうです。

 

【植物の進化論】

「植物の進化」については、生物ほどには専門家の意見が一致していませんが、植物が地上に出現した順序と地質年代との対応は、およそ下記のようだとされています。

 

時代区分   年代 植物の出現
新生代 第4紀 180万年~  
第3紀 180万年前まで  
中生代 白亜紀 6500万年前まで  
ジュラ紀 1.5億年前まで

被子植物

例:サクラ、イネ

三畳紀 2億年前まで  
古生代 ペルム紀 2.5億年前まで

裸子植物

例:イチョウ、マツ

石炭紀 3億年前まで

シダ類

デボン紀 3.6億年前まで  
シルル紀 4.2億年前まで  
オルドビス紀 4.5億年前まで コケ類
カンブリア紀 5億年前まで 藻類
カンブリア紀 46億年前から  

 

進化論では、胞子が進化して花粉になったとされています。いわゆる「有性生殖」の始まりです。つまり「おしべ」から出る花粉が「めしべ」に受粉することによって種子ができるようになったというのです。そして、裸子植物は、最初の種子植物だと言われています。

 

【花粉のパラドックス

いまから約50年前(1963年)世界で最も有名な雑誌のひとつ、”Nature”に、ロライマ累層から花粉と胞子の化石が見つかったことが報告されました。

 ある植物学者、ダンスタービル博士が、”Orchid(ラン)”を求めて、ロライマ山を探索中に、石油のもとになる「オイルシェール」の地層をみつけ、サンプルとして持ち帰りました。これを石油会社の花粉学者が調べたところ、保存状態の良い、花粉と胞子の化石がみつかったのです。

 

当時、ロライマ山は17億年前(先カンブリア紀にできたとされ、花粉と胞子は、進化論によれば、3億年前より後に出現したはずです。つまり、古いとされている地層から新しい時代のものがみつかったわけです。

 この衝撃的な報告を受け、当時の地質学者たちによって再度調査が行われたようですが、結果は同じだったそうです。それらの結果を受けて、翌年の”Nature”に、スタインフォース博士(地質学者)によって次のようなLetter(コメント)が発表されました。 

 

Letterを書いたスタインフォース博士は、別の報告書の中で、こう述べています。

“The rocks concerned are unquestionably ancient (Precambrian) and are so altered that no organic matter should be recognizable in them. Also they are physically dense, with no obvious routes (such as natural permeability/porosity or crack systems) through which solid particles might enter them. Yet standard palynological techniques recovered well-preserved fossil pollen from the samples!!!”

《翻訳》「問題の岩は間違いなく先カンブリア紀のものだ。長きに渡り変成してきたので、有機物が存在するはずがない。また物理的にも非常に高密度であり、粒子が入り込めるような(穴や裂け目などの)侵入ルートもない。だが、標準的な花粉学の技術によって、保存状態の良い花粉の化石が発掘されたのだ!!!」

 

この難題についてどう考えたら良いのでしょうか。スタインフォース博士は、2つの可能性を示しています。

  1. ロライマ山の地層年代が正しい。花粉は何らかの方法で混入した 
  2. 花粉の地層年代が正しい。古い地層がもとになってロライマ山を形成した

 

しかし、どちらの考えも決定的ではないことを認め、次のように結論づけています。

”As stated, we offer no solution to the paradox. It is clear, however, that botanist Dunsterville in his hunt for rare orchids stumbled on a highly intriguing geological problem."

《翻訳》「述べてきたように、我々は、この(地層年代の)矛盾に対する回答を持ち合わせていない。しかし、ひとつだけ確かなことは、珍しいランを探しに行ったダンスタービル博士(植物学者)は、地質学上とてもやっかいな問題につまづいてしまったというわけだ。」

 

今日の話を、簡単にまとめたビデオを紹介します。 

 

今回の記事は、下記ウェブサイトを参考にしました。

 

また、ロライマ山は、ベネズエラの観光地として紹介されています。

 

次の更新は、7月になりそうです。よろしくお願いいたします。

石炭に「炭素14」の大発見!

久しぶりの投稿になります。今年4月から1年の予定ですが、大学院で公衆衛生を学んでいます。更新のペースが少し遅くなっていますが、令和もよろしくお願いいたします。

 

今回のテーマは「石炭の年代測定について」です。石炭は世界中の地層の中に存在しています。古いとされている地層から発掘された石炭のサンプル10個を、放射性炭素年代測定法で測ってみると、実は、比較的新しいことがわかった、という話題です。

 

【RATE研究】

1997年から2005年にかけて、創造論の立場に立つ科学者たちが、RATE(Radioisotope and the Age of The Earth:放射性同位元素と地球の年齢)という研究を行いました。この研究内容については、2003年にアメリカの地球物理学学会で発表されています。

 

www.icr.org

 

【石炭の放射性炭素測定】

このRATE研究の中で、様々なトピックが扱われました。今回のお話しのテーマである、「石炭中に発見された炭素14」もそのひとつです。

 

大気中には不安定な炭素(C14)安定な炭素(C12)が存在しています。不安定なC14は、半減期5730年を経て、そのうち半分が放射性崩壊し、窒素N14へ置き換わっていきます。生物が生存しているうちは、大気中のC14を取り込むので、体の中では大気中のC14/C12比(1:1兆)と同じ比率に保たれていますが、生物が死ぬとC14を取り込むことがなくなるので、N14に置き換わった分だけC14が減少していきます

炭素14の放射性崩壊の速度(半減期)と大気中のC14/C12比は、昔も今も一定であると仮定すると、残存するC14を測定することによって、生物が死んでから現在に至るまでの期間を推定することができるのです。

 

石炭は、規模に差はありますが、数千万~数億年前とされている地層から発見されます。しかし、炭素法では、9万年以上では、C14の検出限界を超えるため、理論上、測定可能なC14が残っているはずがありません。

 

RATE研究では、アメリカの石炭試料銀行から提供された10個の石炭サンプルを用いて、炭素法による年代測定を行いました。その結果、全ての試料中にC14が残存しており、その濃度は、今日の大気中のC14濃度と比べ、平均0.25%程度であったので、数万年前という計算になるそうです。また、かつては地球の磁場が強かったため、C14濃度は、現在よりも少なかったことを考慮すると、さらに年代は縮まり、数千年に近づくと考えられると述べています。

 

【石炭の炭化率】 

1964年、今から50年以上も前に、スペックマンという人が、石炭形成についての実験結果を発表しています。それによると、炭化の程度は、下記の式で推計できることがわかっています。

 

炭化率(%)=30.93+0.1328T+0.0828P+0.00016t

ここで、T:温度、P:圧力、t:時間を表します。

 

この結果をみれば、石炭が炭化する程度は、時間に比べ、圧力や温度の方が影響が大きく、実際に、温度や圧力の条件が揃えば、短時間で石炭を作れることがわかっています。

 

【地層と化石】 

化石は地層の中から発見されます。これまで発見された化石の年代測定は、化石を含む地層年代を元に推定されてきました。しかし、地層や岩石の年代測定として使われている、カリウム・アルゴン法で、噴火年度がわかっている火山(西暦1500-1800年)の玄武岩を測定したところ、数千万~数億年前という結果がでることがあり、その信頼性は低いと言わざるをえません。

 

石炭化石燃料のひとつで、主に樹木の皮を成分としていますから、広い意味で植物の化石であると言えるでしょう。また、恐竜の骨からも、残存しているC14が検出されています。化石の年代を測定するにはカリウム・アルゴン法のような)信頼性の低い方法で、地層の年代を間接的に利用するのではなく、石炭や恐竜のように直接測定した結果を、もっと信頼してもよいのではないでしょうか。

 

今回の記事の内容についてまとめたビデオを下記に紹介します。 

   

 

放射性炭素年代測定法については、下記の過去ログもご参照ください。

darwinkieta.hatenablog.com

  

科学とは?:実験科学と歴史科学

科学的とは一体何でしょうか?私たちは、〇パーセント、〇年前など、数字で表されると、それは科学的だから本当だと信じやすいものです。数字は確かに客観的な表現法ですが、数字を出す計算方法が主観的だと、実は、計算結果である数字も主観的なのです。これは特に歴史科学についてあてはまります。 

前回の記事「科学と信仰は両立できるのか」の中で、科学は大きく2つに分けられることをお話ししました。「実験科学」「歴史科学」です。進化論は、純粋な科学ではなく、歴史科学に分類されます。歴史科学の特徴は、経験による先入観、価値観などの世界観(信仰と言い換えても良い)に大きく影響されるということでした。そのため、歴史科学で表される数値(例:〇年前)は、前述のように計算方法が「仮定や前提」という主観に基づいているので、その結果も主観的であることに注意が必要です。

今回、実験科学と歴史科学の違いについて触れている科学とは何か?というタイトルのビデオを紹介します(日本語字幕付きです) 

科学と信仰は両立できるのか?

よく「科学と信仰は両立できるのでしょうか?」と聞かれることがあります。ここで言う「信仰」とは、天地万物を創った唯一の神(=創造主)がいると教えている信仰、すなわち、アブラハムを信仰の祖とする、ユダヤ教キリスト教イスラム教のことを指します。

 この質問の背景には、「進化論=科学」「信仰=進化論を否定する」、つまり、信仰が科学を否定しているから、「科学と信仰は両立しない」のではないか、という思いが見え隠れします。また進化論は、基本的に無神論であることも影響しているでしょう。

 けれども「科学と信仰は両立しない」と早合点するのは、物事を単純化しすぎているのではないかと思います。科学と信仰についての理解を深めるための、2つの視点を紹介したいと思います。

 

1.クリスチャンの視点

私はクリスチャンです。クリスチャンの視点からみると、科学者と信仰者は、次の4つのタイプに分類されると思います。

 

進化論を信じる

科学者

進化論を信じない

科学者

クリスチャン

である

 ①  ②

クリスチャン

ではない

 ③  ④

 

 に分類されるのは、クリスチャンの中でも「有神進化論」を信じている人たちです。有神進化論とは、神が命を生まれさせ、その後、進化論の通りに進化を導いたという考え方です。アメリカの遺伝学者で「国際ヒトゲノム計画」を導いた、フランシス・コリンズ博士が有名です。この方の著書として『ゲノムと聖書:科学者、「神」について考える』(2008年 エヌティティ出版という本があります。

 

に分類されるのは、聖書の記述を信じるクリスチャンです。この中には、聖書の記述を字義通り(つまり地球は誕生して約6000年だと)信じるクリスチャンと、天地万物の創造記事に関しては、年代の解釈には比喩が含まれている(地球の年齢は進化論で言う46億年)と信じるクリスチャンがいます。前者を「若い地球の創造論、後者を「古い地球の創造論(漸進創造論)」と呼び分けることもあります。

16世紀以降、偉大な発見をした科学者たち、ガリレオパスカル、ボイル、ケプラーニュートン、ファラデー、レントゲン、パスツール、メンデル他、は聖書を信じるクリスチャンでした。彼らの発見は進化論の発表前なので、若い地球の創造論だったことでしょう。

 

は、新聞やテレビなどのメディアの論調に代表されるいわゆる一般論です。あえて説明する必要はないと思いますが、日本人の多くの方がここにあてはまるのではないでしょうか。

 

に分類されのは、創造主信仰を持っているわけではないが、かと言って、進化論を信じているわけではないという人達です。話題にのぼることが少ないのは、現代の科学界や学会で、進化論を否定すると、科学者としての立場が保証されなくなることがあるので、公に意見を述べることができないのかもしれません。

聖書の神かどうかはわかりませんが「神」という概念を信じている科学者には、素粒子論で有名なカク・ミチオさんがいます。

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2.科学の視点

多くの人が「進化論」は科学であることを疑っていませんが、科学は大きく分けると、実験科学と歴史科学の二つに分類されます。それらを比較してみましょう。

 

 研究のヒント

 研究対象   特 徴
 実験科学  現在  現在

 観察可能

 再現可能

 歴史科学  現在  過去

 観察不可能

 再現不可能

 

このうち、実験科学というのが、いわゆる、狭義の「科学」です。科学者によって意見が分かれることはありません。対象について実験し、観察、再現できるので、結果は誰の目にも明らかだからです。

  一方、歴史科学は物事が過去にどのように起きたのかを扱います。現在目にするものをヒントに、過去を推測するのですが、理論化(単純化)するために仮定や前提条件が必須となるので、導かれる結論は、仮定や前提条件に大きく左右されてしまいます。これらの仮定や前提条件は、過去のことなので、確かめようがなく、科学者の持つ世界観(=信仰と言い換えてもよい)で結論が決まるのです

 

歴史科学の例として、犯罪捜査が挙げられます。過去に起きた事件を、残された物的証拠を持って犯人を絞り出し、動機やアリバイ、目撃証言を元に犯人を特定するのです。しかしどれだけ証拠が揃っても犯人が見つからないことや冤罪の歴史が物語るように、客観的に犯人を証明することは困難です。

進化論も歴史科学のひとつです。地層や化石などの物的証拠をもとに、それらは長い悠久の年月を経て進化してきたはずだ、という世界観に基づいて築き上げた科学体系(パラダイム)なのです。ですから、ある岩石の年代を測定し、この体系に合わない結果がでるとその結果は間違いとされて排除されてしまうのです。

 

以上をまとめると、「科学と信仰は両立するのでしょうか?」という問いに対しては「両立する」と言えます。それは過去の偉大な科学者たちの発見をふり返れば、理解できますよね。

また、進化論については、純粋な科学(=実験科学)ではなく、ある世界観(信仰)に基づいた科学であると言えるでしょう。ただ、現在のパラダイムパラダイムとは簡単に言えば、常識であって真理ではありません)のもとでは「進化論は科学ではない」と否定することは、パラダイムを否定することにつながるので、注意が必要です。 

少し難しい話が続きましたね。息抜き?にアメリカで作られた「進化論vs神」という映画を紹介します。ある大学のキャンパスで教授や学生たちに、進化論の証拠をたずね、進化論は信仰であることに気づかせ、神の存在について考えさせる様子を撮影したものです。

是非、最後までご覧ください。

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