若い地球と進化論

地球の歴史や人間の起源について考えるブログ

〇〇と〇〇は〇〇年前に枝分かれ

新聞やニュースなどで、このようなタイトルの記事を目にしたことは、ありませんか?
 
「遺伝子解析の結果、〇〇と〇〇は、〇〇万年前に共通の祖先から枝分かれしたことが証明された」というものです。
 
例えば、このような記事です 

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※プライバシーへの配慮から伏字にしてあります
このような、進化に関するサイエンス記事を読んだときに、注意していただきたいことが何点かあります。
 
まず大事なことは、原則として、過去に起きたことは証明できません。ですから、証明された、と書いてあっても、記事の内容は、本当かもしれないし、ウソかもしれない、ということです。
 
過去におきたことを、何等かの方法を使って証明する場合、必ずといっていいほど、仮定(前提条件)が存在しています。この仮定が真実だったとすれば(~すれば、といった時点で仮定ですね)、得られた結論は真実だったのかもしれません。どうがんばってみても、憶測以上のことは言えないということです。
 
例えば、この記事の内容を例にとると、次のことが前提になっています。
 
①クジラとカバは、共通の祖先(CA)から枝分かれした
②突然変異の起こるスピードは、ずっと同じ(R)だった
※①で、すでに進化論の系統樹の通りに進化してきたことが前提となっていることにご注意ください。
 
 ここで、クジラとカバの遺伝子の違いを(D)とすると、共通祖先(CA)とクジラの遺伝子の違いは、”D/2(Dの半分)”とあらわされます。同様に、CAとカバの遺伝子の違いも”D/2”とあらわすことができます。
 すると、共通祖先(CA)から、クジラ、あるいはカバまでの進化に要した時間(T)の関係は、次の式であらわすことができます(概念をつかむことが目的なので、単位については省いています)。
 
D/2 = R X T
 
D/2:共通祖先からカバ、あるいはクジラまでの遺伝子変異量
R :突然変異率(時間あたりの突然変異量)
T :時間(共通祖先からカバ、あるいはクジラへの進化に要した時間)
 
 DとRは現在の観察結果から求めることができますので、上記の式に代入すれば、T年前という数値が割り出されるというわけです。
 
  このように「枝分かれした」という前提で計算をして、その結果をもって「枝分かれした」ことが証明された、とする論法は、前提が結論、結論が前提となっているので、お互いがお互いに依存しており「循環論法」といえるでしょう。
 
 科学に関する記事であっても、新聞に載っているからと言って、必ずしも正しいことが書かれているとは限りません。私たちも、適切なメディア・リテラシー」「サイエンス・リテラシーを身に着けたいですね。