若い地球と進化論

地球の歴史や人間の起源について考えるブログ

花粉のパラドックス

ご無沙汰しております。長らく更新されないのに、あきらめずにブログをご覧になっていただいる方、ありがとうございます(涙)

 

【失われた世界】

『失われた世界』という作品をご存じでしょうか?シャーロック・ホームズの著者として有名なコナン・ドイルにより、1912年に発表されたSF作品です。いろんな恐竜が登場する、この作品は映画化もされており、あのジュラシック・パークにも強い影響を与えたと言われています。

 『失われた世界』の舞台となったギアナ高地には、ベネズエラガイアナ、ブラジルにまたがるテーブル状のロライマ山(標高2810m)という山があります。 

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ロライマ山/Wikipedia

 

この山の地層は「ロライマ累層」と呼ばれ、水晶のアレナイト砂岩で構成されており、放射年代測定法によれば、少なくとも、17 億年前に形成された、と考えられているそうです。

 

【植物の進化論】

「植物の進化」については、生物ほどには専門家の意見が一致していませんが、植物が地上に出現した順序と地質年代との対応は、およそ下記のようだとされています。

 

時代区分   年代 植物の出現
新生代 第4紀 180万年~  
第3紀 180万年前まで  
中生代 白亜紀 6500万年前まで  
ジュラ紀 1.5億年前まで

被子植物

例:サクラ、イネ

三畳紀 2億年前まで  
古生代 ペルム紀 2.5億年前まで

裸子植物

例:イチョウ、マツ

石炭紀 3億年前まで

シダ類

デボン紀 3.6億年前まで  
シルル紀 4.2億年前まで  
オルドビス紀 4.5億年前まで コケ類
カンブリア紀 5億年前まで 藻類
カンブリア紀 46億年前から  

 

進化論では、胞子が進化して花粉になったとされています。いわゆる「有性生殖」の始まりです。つまり「おしべ」から出る花粉が「めしべ」に受粉することによって種子ができるようになったというのです。そして、裸子植物は、最初の種子植物だと言われています。

 

【花粉のパラドックス

いまから約50年前(1963年)世界で最も有名な雑誌のひとつ、”Nature”に、ロライマ累層から花粉と胞子の化石が見つかったことが報告されました。

 ある植物学者、ダンスタービル博士が、”Orchid(ラン)”を求めて、ロライマ山を探索中に、石油のもとになる「オイルシェール」の地層をみつけ、サンプルとして持ち帰りました。これを石油会社の花粉学者が調べたところ、保存状態の良い、花粉と胞子の化石がみつかったのです。

 

当時、ロライマ山は17億年前(先カンブリア紀にできたとされ、花粉と胞子は、進化論によれば、3億年前より後に出現したはずです。つまり、古いとされている地層から新しい時代のものがみつかったわけです。

 この衝撃的な報告を受け、当時の地質学者たちによって再度調査が行われたようですが、結果は同じだったそうです。それらの結果を受けて、翌年の”Nature”に、スタインフォース博士(地質学者)によって次のようなLetter(コメント)が発表されました。 

 

Letterを書いたスタインフォース博士は、別の報告書の中で、こう述べています。

“The rocks concerned are unquestionably ancient (Precambrian) and are so altered that no organic matter should be recognizable in them. Also they are physically dense, with no obvious routes (such as natural permeability/porosity or crack systems) through which solid particles might enter them. Yet standard palynological techniques recovered well-preserved fossil pollen from the samples!!!”

《翻訳》「問題の岩は間違いなく先カンブリア紀のものだ。長きに渡り変成してきたので、有機物が存在するはずがない。また物理的にも非常に高密度であり、粒子が入り込めるような(穴や裂け目などの)侵入ルートもない。だが、標準的な花粉学の技術によって、保存状態の良い花粉の化石が発掘されたのだ!!!」

 

この難題についてどう考えたら良いのでしょうか。スタインフォース博士は、2つの可能性を示しています。

  1. ロライマ山の地層年代が正しい。花粉は何らかの方法で混入した 
  2. 花粉の地層年代が正しい。古い地層がもとになってロライマ山を形成した

 

しかし、どちらの考えも決定的ではないことを認め、次のように結論づけています。

”As stated, we offer no solution to the paradox. It is clear, however, that botanist Dunsterville in his hunt for rare orchids stumbled on a highly intriguing geological problem."

《翻訳》「述べてきたように、我々は、この(地層年代の)矛盾に対する回答を持ち合わせていない。しかし、ひとつだけ確かなことは、珍しいランを探しに行ったダンスタービル博士(植物学者)は、地質学上とてもやっかいな問題につまづいてしまったというわけだ。」

 

今日の話を、簡単にまとめたビデオを紹介します。 

 

今回の記事は、下記ウェブサイトを参考にしました。

 

また、ロライマ山は、ベネズエラの観光地として紹介されています。

 

次の更新は、7月になりそうです。よろしくお願いいたします。