若い地球と進化論

地球の歴史や人間の起源について考えるブログ

「親知らず」は、痕跡器官?

久しぶりの投稿です。今回は「親知らず」として有名な、第三大臼歯についてのお話しです。

 

私ごとですが、9月末に右下顎の奥歯にインプラントの手術をしました。手術前に何度かレントゲンをとりましたが、私の場合は「親知らず」に相当する第三大臼歯が写っていませんでした。日本人では、約30%がこのタイプだそうです。ちなみに私の妻は、上下左右とも第三大臼歯が生えています。

私たち夫婦が通っている、歯医者さんのご厚意を得て、私(親知らずなし)と妻(親知らずあり)のレントゲンをお借りしてきました。

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クイズ:親知らずがあるのはどっち?

親知らずの名の由来は、20歳以後に生えてくることが多いので、親も知らないから「親知らず」、英語では、分別のつく頃に生えてくるので、Wisdom Teeth (智歯)とも呼ばれます。

 

第三大臼歯は、上下左右の2本の奥歯(第一、第二大臼歯)のさらに奥から生えてくるのですが、時として、奥歯の後ろに十分な余裕がないままに生えてくるので、まっすぐ上に向かって生えてこないことがあります。そうすると、痛みがでたり、歯の周囲に感染や炎症を起こし、抜く必要がでてくる場合があるのです。

 

進化論では、その存在が現代人には無用(あるいは問題を起こす)ものを「痕跡器官」といいます。痕跡器官とは、進化の過程において、完全に退化しきれず残ったものというわけです。進化論によれば、何かを獲得すれば進化といい、一度獲得したものを失えば退化といいます。つまり、進化の過程で退化が起こるというわけです。まるで魔法のようですね。

 

痕跡器官」と言うと、いわゆる「盲腸」として知られる「虫垂」や「しっぽ」の名残りとされる「尾てい骨」などが有名かもしれません。けれども、かつては痕跡器官として考えられていた、これらの臓器も、現代医学の発展により、虫垂は免疫学的に重要、尾てい骨は、解剖学的に筋の付着部としてなくてはならない役割を果たしていることが知られています。つまり痕跡器官ではなかったのです。

 

では「親知らず」はどうでしょうか?「親知らずは、問題ばかり起こすので、現代人には不要であり、進化の痕跡器官である」という考え方がある一方で、食生活・食習慣の違いが、第三大臼歯の出方に影響を与えるのだという考え方もあります。

 

高度に加工されていない、生に近い硬いものを食べる民族では、年を取るにつれ、歯がすり減っていくことでしょう。そして、野球で言えばリリーフのように現れる、第三大臼歯の存在は、健康な食生活を営む上で非常に重要と思われます。また、加工された軟らかいものばかりを食べる、現代風の食生活を送っていると、顎が十分に発達しません。すると、親知らずが生えてくるスペースがなく、トラブルを起こしやすくなるという考えの方が、説得力があるように思いますが、いかがでしょうか?

 

 

クイズの答え:「右」が親知らずありのレントゲンです。