若い地球と進化論

地球の歴史や人間の起源について考えるブログ

鳥は恐竜から進化したのでしょうか?(1)歴史と背景

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https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sinosauropteryxfossil.jpg

鳥は恐竜から進化したのでしょうか?

 

恐竜超伝説 劇場版ダーウィンが来た!がまもなく上映開始となりますね。予告編を観ると、恐竜たちが実にリアルに描かれています。ゴジラのような声で吠える恐竜、トサカのような羽毛をディスプレイする恐竜、またティラノサウルスの背中には、ふさふさした鳥のヒナような、あるいは哺乳類のような毛が生えていました。基本的に恐竜の化石や骨から、体表の色は判別できませんので、これらの模様は、残念ながらイラスト作者の想像です。では、羽毛をもつ恐竜(通称:羽毛恐竜)は、本当にいたのでしょうか?今回の記事では、羽毛恐竜の真偽、歴史とその背景について迫りたいと思います。

 

【羽毛恐竜の歴史】 

鳥も恐竜も足が3本指であることから、鳥は恐竜から進化したのではないか、という考えは昔からありました。その説に脚光が浴びるようになったのは、1996年、中国遼寧省シノサウロプテリクス(sinosauropteryx)- Wikipediaの化石に 羽毛の痕跡らしきものが発見されたからです。後に、羽毛の痕跡とされたものは、羽毛ではなく、皮膚(表皮)の一部である、と結論されました。

 しかし、この痕跡から鳥に特有のメラノソーム(色素)を発見したという研究が発表され、やはり羽毛への移行形態を示したものであり、鳥は恐竜から進化したという説の裏付けとされました。

 けれども、「進化論を信じている全ての科学者が、鳥は恐竜から進化してきた」と主張しているわけではありません。「メラノソームの検出方法は科学的に信頼できない」とする古鳥類学者の反論(下記参照)もあり、この論争に決着はついていません。

link.springer.com

 

【化石:研究とビジネスのはざまで】

1999年10月、やはり遼寧省から、現代の鳥のような羽を持つ恐竜化石が発見され、恐竜と鳥をつなぐ「ミッシングリンク(進化の移行形態を示す化石)」がみつかったとして、ナショナル・ジオグラフィック誌に発表されました。アーケオラプトル(Archaeoraptor liaoningensis)と名付けられたこの化石は、CTスキャン等による、さらなる調査の結果、Yanornisという鳥の化石に、Microraptorという小さな恐竜の尻尾を組み合わせた合成化石(キメラ)であることが判明しました。現代人の頭骨とオランウータンの下顎骨で捏造されたピルトダウン人 - Wikipediaのようなことが、恐竜でも起こったわけです。

 化石の合成はアーケオラプトルだけではありません。中国では主に農民が化石を発掘しているのですが、その際学術的な手順を踏まないため、同じ種の別の個体だけでなく、別の種の個体の一部を組み合わせて化石商人に売ることがあるようです。また、遼寧省には非常に精巧に化石を細工する工場があり、化石標本の信頼性を著しく損ねています。背景には、密輸やオークション、手段を選ばず貴重な化石を欲しがる需要家の存在があります(下記参照)。

www.scientificamerican.com

 

【化石研究における問題】

羽毛恐竜を研究する古生物学者たちは、自ら発掘した化石だけではなく、中国のように市場や商人から購入した化石を研究し、その結果を発表します。けれども、発表の中で、化石をどこで入手したのか、発掘したのか購入したのかについて言及されることはあまりありません。また、古生物学上の発見が貴重であるほど、その化石が他の科学者によって吟味される機会は限られ、第三者による検証が困難、もしくは、時間がかかるのです。

 

【羽毛恐竜についての立場】 

以上をふまえ「恐竜は鳥に進化したのか」という問いへの答えを、信仰や世界観によって大きく整理すると、以下にようになるかと思います。

  神(創造主) 地球は若い 進化論 恐竜から鳥への進化
タイプ1 信じない 信じない 信じる 信じる
タイプ2 信じない 信じない 信じる 信じない
タイプ3 信じる 信じない 信じる 信じる信じない*
タイプ4 信じる 信じる 信じない 信じない

*「信じる」「信じない」どちらもあり得る

「タイプ1+タイプ2(緑)」、「タイプ+タイプ4(紫)」は、神(創造主)の存在で意見がわかれるので、前者は神を信じない、後者は神を信じる(特にユダヤ教キリスト教イスラム教の)立場です。

 タイプ1とタイプ2は、ともに進化論を信じていますが、「恐竜から鳥へ進化した」と考えるタイプ1と、「恐竜と鳥には共通祖先がいた(鳥と恐竜には時間的連続性がない)」と考えるタイプ2があります。

 タイプ3は、生命の創造主=神の存在を認めながらも、神が進化の過程を導いたと考える立場です。タイプ3には、恐竜から鳥へ進化したと考えるタイプ1、恐竜と鳥には共通祖先がいたと考えるタイプ2の立場があると思われます。

 タイプ4は、創造主が、恐竜も鳥も別々に創造したという考え方です。ユダヤ教キリスト教イスラム教はアブラハムを信仰の祖とし、その聖典旧約聖書で共通しています。したがって旧約聖書中の創世記の記載通り、鳥は創造の5日目、陸の生物は、野の獣やはうもの(恐竜や爬虫類)として創造の6日目に造られ、その順序は、恐竜・鳥の順ではなく、鳥・恐竜の順だと考えられています。

 

[創世記1章21、22節]

それで神は、海の巨獣と、その種類にしたがって、水に群がりうごめくすべての生き物と、その種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。神は見て、それをよしとされた。神はまた、それらを祝福して仰せられた。「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地に増えよ。」こうして夕があり、朝があった。第五日。

[創世記1章25節、31節]

神は、その種類にしたがって野の獣、その種類にしたがって家畜、その種類にしたがって地のすべてのはうものを造られた。神は見て、それをよしとされた。

そのようにして神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ。それは非常によかった。こうして夕があり、朝があった。第六日。

 

【まとめ】

以上、羽毛恐竜について、歴史と背景についてまとめてみました。要約すると以下のようになります。

 

・進化論を信じている全ての人が「鳥は恐竜から進化した」と信じているわけではない

・「鳥は恐竜から進化した」という期待を背景に、合成化石、捏造、密輸が問題となっている 

羽毛恐竜だとする化石には、証拠不十分なものが含まれており、さらなる吟味が必要である

 

さらに大事な点は、もし仮に、明らかな羽毛をもつ恐竜がいたとしても、それが恐竜から鳥へ進化したことを証明しているわけではない、ということです。これについては、次回以降、詳しくお話したいと思います。