若い地球と進化論

地球の歴史や人間の起源について考えるブログ

アダムの歴史性:アダムは実在したのでしょうか?

メリークリスマス!

 

今日は、イエス・キリストの誕生をお祝いする日です!

 

先週の土曜日から今日にかけて、カトリックプロテスタントなど宗派を問わず、どこのキリスト教会でも、クリスマスを祝うイベントが行われました。参加された方も多いのではないかと思います。

 

クリスチャンにとってはもちろんのことですが、実は、クリスチャンではない方にとっては、クリスチャン以上にイエス・キリストの誕生(クリスマス)には特別な意味があるのです。

 

それは、最初の人間であるアダムの堕落によって人類に入った「罪」が、聖書によれば、最後のアダムである「イエス・キリストによって贖(あがな)われ、全ての人類の罪が赦されたからです。(聖書をお持ちの方は、新約聖書の「コリント人への手紙第一」15章45節をご参照ください)

 

そして、イエス・キリストが、自分の罪の身代わりとなって死んでくださったことを信じるだけで、アダムの堕落以来失っていた、神の子どもとしての権利をとりもどし、例え、肉体が滅びても、天国で永遠に暮らすことが約束される、のです。

 

最後のアダムである、イエス・キリストが歴史上存在したことは事実ですが、最初のアダムについては、どうでしょうか?

 

もし、最初のアダムが実在しなければ、「最後のアダム」という言葉に意味が失われ、聖書に書かれている「(最後のアダムは)生かす御霊となった」ことに実体がなくなってしまいます。

 

つまり、イエス・キリストがなぜ誕生したのか、クリスマスをなぜ祝うのか、という意味を考えるとき、アダムの歴史性は、非常に重要なことがらなのです。

 

というわけで、今回は、2004年にNatureという雑誌に載った"Modelling the recent commonancestry of all living humans(現存する全人類の、直近の共通祖先に遡る)"という論文についてのレビュー"Pedigrees for all humanity"を紹介します。

 

このレビューによれば、論文で明らかになったことは、

・人類のたどってきた移動の歴史をもとに、数式モデルにあてはめて検討した結果、現存する全人類の共通祖先は、2-3千年前に生きていた、ある個人にたどりつく。

・その個人から、さらに2-3千年さかのぼると、その時代に生きていた人全員が、現存する全人類の祖先であるか、現存する子孫を誰も残せていないかのどちらかである。

というものです。

 

以下、簡単に解説します。

私たちの親は父母合わせて2人、もう1世代さかのぼると、父方の父母、母方の父母、合わせて4人、というように、私たちの先祖は、さかのぼるにつれて、指数関数的に増えていきます。人口サイズが1000人だとして「ひとりの共通祖先にたどりつくためには、何世代(世代数=Nとする)さかのぼればよいのか」という問題を考えたとき、

N=log21000、N=だいたい10世代、さかのぼればよいとわかるのだそうです。

この式をもとに「現在の人口」と「世代交代の年数」を考慮に入れて計算すると、2~3000年前に生きていた共通祖先が求められるそうです。ここで注意すべき点は、当時、このひとりの共通祖先以外にも人間は存在していた、ということです。

さらに、このひとりの共通祖先から世代をさかのぼるごとに、共通祖先が一人、また一人と増えていきます(ちょうど砂時計のようなイメージでしょうか)。

最終的に(合計して4~6000年前)、当時の人口集団は、

a)現存する全人類の共通祖先となるか、あるいは、

b)今に至る子孫を全く残せていないか、

のどちらかに振り分けられるそうです。つまり、当時(4~6000年前)の集団の中に、現存する人類の一部の祖先という(中途半端な?)人は存在しない、ということになるのだそうです。

 

ちょっと難しいですが、ものすごく簡単に言うと、全人類は、およそ6000年前に生きていた、たった一人の人間によって始まった可能性がある、ということです。

また、聖書を文字通り解釈するならば、アダムが神さまによってつくられたのは、約6000年前と計算することができます。

 

以上の2つのことを考えるならば、現存する全人類の祖先は、アダムである、という可能性は決して否定できないのです。

 

原著は、本来有料ですが、下記サイトにて一部を読むことができます。

Pedigrees for all humanity | Nature

 

まるで「恐竜戦車」!よろい恐竜からわかること

クイズ:この怪獣は何でしょう?

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そうです。「恐竜戦車」です。

 

ウルトラセブン第28話「700キロを突っ走れ!」にでてきましたね。ウィキ先生によれば、地球防衛軍が開発した新爆薬(スパイナー)を奪取するための切り札として、キル星人が恐竜を改造してサイボーグにした怪獣だそうです。 

 

今回は、その恐竜戦車のような化石が、カナダ・アルバータ州で偶然発見されたという話題です。「鎧をまとった奇跡の恐竜化石」というタイトルで、1年以上前にナショナルジオグラフィックで紹介された記事を、下記にリンクしておきます。 あらかじめお断りしておきますが、戦車の方は発見されておりません。あしからず。

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

この記事によれば、発見された恐竜は、全長5.5m、重さ1.4トンもあるノドサウルスの新種と考えられるそうです。実際に発掘されたのは、上半身だけなので、この半分の長さになります。

 

戦車は発見されなかったのに、なぜ、恐竜戦車かって?

それは、記事を読んで「鎧のような装甲=戦車」+「上半身だけ=足がない」恐竜⇒恐竜戦車、というわけなのです。

 

(写真)ロイヤル・ティレル博物館(カナダ・アルバータ州)に展示されている化石

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https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nodosaur.jpg

 これだけ、立体的で完全な恐竜の化石は歴史上とても珍しいことだと思います。けれども、私が一番目を引いた箇所は、実は「化石のできかた」についてです。

日本語版の記事には詳しく書かれていませんが、オリジナルの英語版には、ずっと詳しい説明が載っていて、こんな風にかかれています。

 

ある日、恐竜が川で死んだ。洪水によって流されてきたのかもしれない。バクテリアによる分解が進み、死体にガスが充満していた。おなかを上にした状態で水面に浮き、川を下り、とうとう海にでた。

数週間、水面を漂った後、おなかのガスが破裂し、背中を下に海底へと沈んでいった。そして、どろどろした泥に埋もれていった。

ミネラル(鉱物)が皮膚に浸みわたり、生きたままの姿をつつみこむように埋もれていき、化石となった。

  

勘のいい読者の方は、もうお気づきですね。

 

そうです。オーストラリアで行われた、イリエワニの実験(詳細は、過去ログクロコダイルが死んダンディー? - 若い地球と進化論をご参照ください)によれば、ワニが水中で死ぬと、2週間以内に腐敗が始まり、水面に浮いた後、死体が完全に底に沈むまで2カ月程かかりました。そうして沈んだ死体の四肢は、バラバラになってしまいました。

 

著者は結論としてこう述べています。

死んだと同時に、死体を完全に覆いつくす土砂の堆積が同時に起こらなければ、全身骨格を保ったまま化石になることはむずかしいだろうと。

 

イリエワニの実験は、全く流れのない池で行われていますが、今回の記事にあるように、全長5.5mもの恐竜を押し流すような洪水であれば、死体の損傷スピードはさらに早まっただろうと推測されます。

 

しかし、記事を読むと、上半身がほぼ完全に保たれているわけですから、大洪水だけではなく大洪水と同時に大量の土砂で、5.5mもの恐竜が、死体が損傷する間もなく、一瞬にして埋め尽くされたはずです

 

だとすれば、この恐竜は、死んでから洪水によって流された、のではなく、大洪水に巻き込まれて死んだ、と考える方がつじつまが合うように思います。

 

なぜなら、死んだまま、のんきに川下りしていては、あっと言う間にばらばらになってしまうので、死ぬことと、洪水によって流されることと、土砂に埋もれること、は同時に起こらなければ、このような奇跡的な化石はできないからです。

 

この大きな恐竜を押し流し、巻き上がった土砂で、全身を完全に覆い、埋め尽くしてしまうような洪水とは、どれほど大きかったことでしょう。そのような大洪水が文字として記録されている書物は、聖書の中だけなのかもしれません。

もし、お手元に聖書があるなら、是非、旧約聖書の創世記7章「ノアの洪水」をお読みになってください。大きな恐竜を一瞬にしてのみこんでしまう、大洪水のイメージが具体的に膨らむのではないかと思います。

 

クロコダイルが死んダンディー?

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by Wikipedia

クロコダイル・ダンディー

という、オーストラリアで制作された映画、ご存じですか?

3部作の初回は1986年封切りですから、なんと30年前!この映画は、”ダンディー”ことポール・ホーガンのアメリカ珍道中を描くコメディーです。ポール・ホーガンの飄々とした演技が秀逸でした。

 

さて、今回の主役は、ダンディーではなく、”クロコダイル”です。

 世界中で、ワニを始め、全身の骨がそろったままの化石が、発掘されています。けれども、どのようにしたら、骨格のそろった化石ができるのか、詳しいことはわかっていません。

 そこで、このテーマについて調べるために、イリエワニを使った実験がオーストラリアで行われました。今回は、“水中で死んだ仔ワニの腐敗経過から、化石の成り立ちを考える”というタイトルで、一般の科学雑誌に発表された論文を紹介します。

 

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なお、原著は、下記のWebサイトでみることができます。

https://www.researchgate.net/publication/257410807_Patterns_of_aquatic_decay_and_disarticulation_in_juvenile_Indo-Pacific_crocodiles_Crocodylus_porosus_and_implications_for_the_taphonomic_interpretation_of_fossil_crocodyliform_material

 

著者は、仔ワニが水中で死んだ後、どう腐敗していくのかを観察し、その観察記録から、全身がわかる化石になるためには、何が必要なのかを調べました。 

 

【方法】

8匹の若いイリエワニ(成獣のワニよりもかなり小型です)を準備し、ワニが水中で死んだ後、以下の条件で観察を続けました。

 

条件①:2匹は、死んですぐに厚さ20cmの土砂で埋めた

条件②:3匹は、死んで水面に浮くまで待ち、それから沈むまで待った。完全に沈んでから、①同様に、厚さ20cmの土砂で埋めた

条件③:3匹は、水中で死んだままにしておいた

 

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図:仔ワニ、死後の自然経過

 上の図からわかるように、ワニが死んで

3日目頃から(ガス発生によって)浮きはじめ、

5日目頃に水面に浮かび、

14日目位まで腐敗が活発に進行する(茶色で示される)。腐敗が進行していくと、

24日目頃から再び水中に沈み始め、

約2ヶ月かけて完全に水底に沈む。

 

【結果】

条件②と③のワニは5日以内に水面に浮き、約30日に渡って水面を漂よい、背骨につながった前足と後ろ足の関節はゆるむか、体幹から外れてしまった。

条件①で、すぐ土砂で埋めたワニのうちの1匹は、死体がガスで膨張してしまい、12日目に水面に浮いてきたので、翌日、追加の土砂で埋めなおさなければならなかった。

 

【考察】 

上記の観察結果から、著者らはこう結論を述べています

 

手足が背骨につながったまま(つまり、全身骨格の)化石になるためには死んですぐに土砂に埋められるだけではなく、十分な量の土砂で埋められなければならない。

そうすれば、死体にガスが発生しても、土砂の重みで浮かんでこれないので、完全な化石になるのだろう。

 

また、この実験に関する、オーストラリアの地形学専門家、ロン・ネラー(Ron Neller)氏のコメント”Dead Crocodiles"を紹介します。このコメントは、CMI(Creation Ministries International)の発行している、Creation39巻(2016)に掲載されています。Neller氏は、クリスチャンでもあります。

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上記2ページに渡るコメントの内容を要約すると、

 

今回の実験でわかるように、20cmの堆積物でさえ、小さなワニを埋めたままにしておくことはできなかった

 しかし、歴史に記録されている、どんな大きな自然災害でも、20cm以上の堆積物が観察されたことはない

 

過去70年間に渡り、地質・地形の専門家たちが、河口、干潟、海岸で観察を続けてきたが、化石を形成するのに十分な土砂や堆積物が記録されたことはない

 

また、恐竜の化石とともに、まだ化石化していない恐竜の骨髄が発見され、海綿構造の中に血球やヘモグロビンなどのたんぱく質や軟部組織が発見されている。

 

これらの観察結果からわかるのは、恐竜は6500万年前に絶滅したと言われているが、実は、絶滅してから、まだ数千年前しか経過していないのではないだろうか

  

最後にネラー氏は、こう結んでいます。

 

地球上で、広範囲に渡る(地層の中に含まれる)沢山の生き物の化石。これほどの大災害は、歴史上の記録では、ただひとつ、それは、聖書(創世記)にある「ノアの洪水」だけである。

 

仔ワニの実験では20cmの土砂は、小さな仔ワニでさえも、完全に埋没させておくことはできませんでした。

 しかし、数メートルを超える、巨大な恐竜が、ほぼ全身に近い形で化石としてみつかることがあります。これらの恐竜は、全身を覆って余りあるほどの土砂によって一気に埋没したことでしょう。

 しかし、地形学の専門家である、ネラー氏が述べているように、過去に記録されたどんな大災害であっても、20cm以上の土砂が積もったことはないのです。

 つまり、ワニの実験から示唆されることは、有史以来、記録されてきた、局地的な災害(洪水)では、化石はできないだろうということです。

 

だとすれば、世界中でみつかる大型生物の化石は何を意味するのでしょう。局地的な規模以上の洪水が、世界中で何度も繰り返し起こったのでしょうか?それとも、全地球を覆う規模の大洪水が、一度だけ起こったのでしょうか?

 

どちらを信じますか?

 

ネアンデルタール人に関する最新の知見

※過去ログ「ネアンデルタール人再考」に加筆しました※

 

最近、メディアでネアンデルタール人に関する記事や番組をよくみかけますね。

Nature(著名な科学雑誌)、CNNやNewsweekでもさかんに取り上げられています。今回は、ネアンデルタール人に関する、最新の記事を紹介します。

 

ネアンデルタール人が注目を浴びるようになってきたのは、ここ10年のできごとですが、こんなに話題になるのはナゼでしょうか?

 それは、発掘される個体数が増え、遺伝子解析の方法が発達して、これまでベールに包まれていたことが、詳しくわかるようになってきたからです。その結果、彼らは思った以上に、現生人類に近い、ことがわかってきました。

 

そのため、かつては毛むくじゃらで、ゴリラと人間を合わせたような容貌で描かれていましたが、最近では、髪の毛こそくしゃくしゃですが、色白でそばかす、お風呂に入って、整髪すれば、現代人と変わらないような顔立ちで描かれています。

 

10年前のナショナルジオグラフィック誌にも復元像や特集が組まれていました。ご興味のある方は、こちらもご覧ください。

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

現代人とは、全てが似ているわけではありません。ネアンデルタール人と現代人との違い、も明らかになってきました。

 

例えば、解剖学的には、現代人と比べ、胸郭が(末広がりの)釣鐘型で、頭蓋骨をみると、脳容積は大きいが、眉弓が突出して、頭頂部が平坦だと言われています。

 

(参考)ネアンデルタール人の骨格(左)と現代人との頭骨の比較(右)  

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(全身骨格)https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Neanderthalensis.jpg (頭骨比較)https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sapiens_neanderthal_comparison.jpg

遺伝学的には、ネアンデルタール人の骨から抽出されたミトコンドリアを解析したところ、現生人類とネアンデルタールの分岐した時期は、現生人類がアフリカを出たとされている、6万年よりもはるか前であった、とする報告があります。

 

年代の特定については、発掘された骨から抽出されるDNAが、環境の変化や汚染の影響を完全に取り除いた状態で、正確に解読できたのかという疑問も残されていますが、DNAが解析できたこと自体は、素晴らしいことですね。

 

一方、現代人とネアンデルタール人の遺伝子の違いは、2頭のチンパンジーの遺伝子の違いよりも小さい、という報告もあります。つまり、チンパンジーという種内の遺伝子のバリエーションの方が、ネアンデルタール人と現代人の遺伝子の違いよりも大きいということです。

 

  

それでは、生活習慣や遺伝子に関する2つの記事を紹介します。

 

  

1.ネアンデルタール人の生活は、それほど過酷ではなかった

これまでの、進化論の考えによれば、ネアンデルタールは、脳容積は大きいものの、頑丈な体躯などから、現代人より劣っていて、粗野で野蛮な生活、肉弾戦に近い狩猟スタイルであったと考えられていました。しかし、発掘される頭蓋骨の損傷具合を研究した結果、比較的穏やかに暮らしていたと結論づけられたようです。
www.natureasia.com

 つづいて、こちら、

 

2.ネアンデルタール人と初期人類との交雑が評価された

ネアンデルタールの人骨から抽出されるDNAを解析した結果、ヨーロッパ系、東アジア系現代人の遺伝子のうち、約2%がネアンデルタールに由来する遺伝子が見つかったそうです。また、ヨーロッパ系よりも東アジア系で、その割合が高いことから、遺伝子の交配は、すくなくとも複数回あったことがわかったそうです。 

www.natureasia.com

 

これら2つの記事をまとめると、

 

ネアンデルタールと現生人類は、同じ時代に、同じ地域に住んでいた。その生活習慣は、粗野で野蛮なものでなく、現生人類とよく似ていて、互いに交配していた。

ということになります。

 交配していたとは、平たく言うと、結婚していたということ。家族は、社会を構成する最小単位ですから、ネアンデルタール人と現生人類は、同じ社会を構成していたのかもしれません。

 

さきほど、現生人類とネアンデルタール人とが分岐した時期は、現生人類がアフリカを出る、6万年よりもはるか前であったという説を紹介しました。

 

一方で、マイヤーによる「生物学的種の概念(1942年)」によれば、

種とは、実際にあるいは潜在的に、相互交配する自然集団のグループ だと定義されています。

 

以上の2つを考えると、現生人類とネアンデルタールは、分岐しても、異なる種とはならなかったのかもしれません。

 あるいは、分岐することとは種が分かれることと定義されるなら、そういう意味では「分岐」しなかったのかもしれません。

 

実際、日本では、まだポピュラーではありませんが、世界の研究者の間では、これまで旧人とされてきたネアンデルタール人新人(現生人類=ホモサピエンス)に含まれるとする考え方もでてきています。

 

すなわち、人類の進化の図式は、以下のように考えられています。

 猿人 → 原人 → 新人

アウストラロピテクス) (ホモエレクトス)  (ネアンデルタール+現生人類※)

クロマニョン人を含む

 

さらに、過去ログ ”猿人は本当にいたのでしょうか? - 若い地球と進化論”で紹介したように、原人(ホモエレクトス)が、ネアンデルタールと変わらず、そして、猿人(アウストラロピテクス)が、単なる木登り猿だということがはっきりすれば、人類の進化の図式は、以下のように変わるかもしれません。

 

猿人=サル ☜ 関係ない ☞ 原人=新人

 

ネアンデルタール人研究では、権威ある古人類学者たちが同じ骨を調べて、互いに矛盾する解釈をすることは決して珍しくなく、これからも、さまざまな発見や報告がなされていくでしょう。

〇〇と〇〇は〇〇年前に枝分かれ

新聞やニュースなどで、このようなタイトルの記事を目にしたことは、ありませんか?
 
「遺伝子解析の結果、〇〇と〇〇は、〇〇万年前に共通の祖先から枝分かれしたことが証明された」というものです。
 
例えば、このような記事です 

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※プライバシーへの配慮から伏字にしてあります
このような、進化に関するサイエンス記事を読んだときに、注意していただきたいことが何点かあります。
 
まず大事なことは、原則として、過去に起きたことは証明できません。ですから、証明された、と書いてあっても、記事の内容は、本当かもしれないし、ウソかもしれない、ということです。
 
過去におきたことを、何等かの方法を使って証明する場合、必ずといっていいほど、仮定(前提条件)が存在しています。この仮定が真実だったとすれば(~すれば、といった時点で仮定ですね)、得られた結論は真実だったのかもしれません。どうがんばってみても、憶測以上のことは言えないということです。
 
例えば、この記事の内容を例にとると、次のことが前提になっています。
 
①クジラとカバは、共通の祖先(CA)から枝分かれした
②突然変異の起こるスピードは、ずっと同じ(R)だった
※①で、すでに進化論の系統樹の通りに進化してきたことが前提となっていることにご注意ください。
 
 ここで、クジラとカバの遺伝子の違いを(D)とすると、共通祖先(CA)とクジラの遺伝子の違いは、”D/2(Dの半分)”とあらわされます。同様に、CAとカバの遺伝子の違いも”D/2”とあらわすことができます。
 すると、共通祖先(CA)から、クジラ、あるいはカバまでの進化に要した時間(T)の関係は、次の式であらわすことができます(概念をつかむことが目的なので、単位については省いています)。
 
D/2 = R X T
 
D/2:共通祖先からカバ、あるいはクジラまでの遺伝子変異量
R :突然変異率(時間あたりの突然変異量)
T :時間(共通祖先からカバ、あるいはクジラへの進化に要した時間)
 
 DとRは現在の観察結果から求めることができますので、上記の式に代入すれば、T年前という数値が割り出されるというわけです。
 
  このように「枝分かれした」という前提で計算をして、その結果をもって「枝分かれした」ことが証明された、とする論法は、前提が結論、結論が前提となっているので、お互いがお互いに依存しており「循環論法」といえるでしょう。
 
 科学に関する記事であっても、新聞に載っているからと言って、必ずしも正しいことが書かれているとは限りません。私たちも、適切なメディア・リテラシー」「サイエンス・リテラシーを身に着けたいですね。

「大発見」からの大発見!

ノーベル科学者は、「進化論」について、どのように考えているのでしょうか?

 

今回は、山中伸弥先生(2012年ノーベル医学生理学賞)と益川敏英先生(2008年ノーベル物理学賞の対談をまとめた本を紹介します。

 

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文春新書


益川先生は、学生時代から「いちゃもんの益川」と呼ばれるくらい議論好きだったそうで、かの有名な、湯川秀樹(日本人初のノーベル賞受賞者)のご葬儀のときも、議論に夢中でひんしゅくを買ったとか、買わないとか。

山中先生は、大学医学部時代にラグビー部に所属し、10回以上もの骨折体験から、卒後、整形外科医を目指したそうです。けれども、手術の手伝いで、手術の邪魔ばかりするから「邪魔中(じゃまなか)」とよばれたり、「お前はアシスタントではなく、レジスタント(抵抗勢力の意)だ」と言われたエピソードが語られています。そして、臨床医はあきらめ、基礎医学の道を選んだそうです。

この本では、益川先生のこだわりと集中力、山中先生の謙虚さと素直さ、お二人の性格は違いますが、どうしてノーベル賞受賞に至ったのか?お二人の赤裸々なエピソードから明かされていきます。何かを成すには「好きであること」「あきらめないこと」が大事なのだ、と思いました。本のタイトルの通り、ノーベル科学者の思考法がよくわかり、おすすめの一冊です。

 

さて、お二人に関する、さまざまな発見がある中で、私にとって最大の発見は、終章「神はいるのか?」で語られる、進化論に関する、ふたりの対話です

 

山中先生は大阪生まれ、益川先生は名古屋生まれだそうです。本書中の対話は標準語ですが、大阪弁の雰囲気を味わってみてください。(茶色は山中先生、緑色は益川先生)

 

例えば、アメリカやと、今も人口の約半分が「進化論」を信じてへんといわれとる。

 

そないな話を聞いたら日本人は「進化論」を信じへんなんて怖いなあ、と思うかもしらんけど、実は「進化論」を信じんのも、ある意味では怖いことやねん。

 

なんでかっちゅうと「進化論」はまだ誰にも証明されてへんからや。なんでか知らんけど日本人は、人間はみんなサルから進化したと信じとるけど、証明はされてへん。

 

「ヒトはサルから進化したんか、それとも神さんが造りはったんか」と聞かれたら、日本人は何となく「サルから進化した」っちゅう方を信じるけど、それは何の根拠もないわけや。

 

そのうち、ダーウィンの進化論は間違いやった、ちゅうことになるかもしらんなあ。

 

 

日本が誇る、当代最高の科学者たちが、進化論は、証明されていない、と明言されたことに大きな意味があると思いました。何のこと言うてんのか、さっぱりようわからん、という人は、是非、本書を手に取って、お読みください。

創造科学がクリスチャンの信仰に与える影響

今年5月31日から3日間、那覇バプテスト教会を会場に、全アジア創造カンファレンスが開催され、発表の機会を与えられました。今日は、その内容をご紹介いたします。

 

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このカンファレンスの様子は、クリスチャン新聞にも掲載されました。記事3段目左端「2つ目は聖書的創造を伝えるビデオの効果が~」 というのが私の発表です。 

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というわけで、発表のスライドをご覧ください。スライドの補足説明は、色を(少し見にくいですが灰色に)変えてあります。

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スコアリング(点数化)の方法

例えば、質問①「神は文字通り6日間で天地万物を創造された」に対し{確信している、多分そう、わからない、多分違う、ありえない}という、5つの選択肢があります。この中から、確信しているを選ぶと、創造論に最も近い考え方なので5点とします(ありえないが1点となります)。

また、⑧⑨⑩は、進化論の主張なので得点順が逆になります。質問⑧「化石は進化の証拠である」に対し、ありえないを選ぶと5点となります(逆に、確信しているが1点)。

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こちらが、調査に使用したDVDです。メインスピーカーはクリスチャンの地質学者である、イ・ジェマン先生。参加者には、2016年11月のセミナーDVD全6巻のうち、第3巻「ノアの洪水」を視聴し、その前後で「選択式アンケート」を、視聴後に「記述式アンケート」に答えていただきました。

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統計解析に使用した検定方法についての説明

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ウィルコクソン符号順位和検定とは?

この検定は、ある集団何等かの介入を行ったとき、介入後におきた変化が、介入によるものなのか、たまたま偶然そうなったのか、を判定するものです。

例題で説明します。「A君からJ君まで10人のクラスで担任の先生が代わり、全体として国語と算数の(5段階評価の)通信簿の成績が伸びた」とします。担任前の成績は国語も算数も、上から順に、3234342343と全く同じですが、担任後は国語は543の繰り返し、算数は345の繰り返しとなったとします。

このとき、伸びの総和は、両科目とも同じですが、検定結果は異なります国語では、成績の伸びは偶然、算数では、成績の伸びは担任が代わったため、と判定されました。これは、増減のばらつきの違いによるものです。

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続いて、アンケートの結果です

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1)視聴前スコアは全て3点以上であることから、創造論に好意的な人が多かったことがわかります。例えば、4番の視聴前スコア4.29は全ての質問の中で最も高いのですが、視聴後はそれほど増加していませんノアの洪水が全地球を覆ったことは、講義と関係なく、ほぼすべての参加者が受け入れていたことがわかります。
2)増加率からわかるように、全ての視聴後スコアが上昇しました。そして太字で示した7個の質問で、統計学的有意差を認めました。7個の質問で点数が増加したのは、たんなる偶然ではなく、講義による影響だということがわかります。
3)増加率が大きいものを赤字で示しました。5番の地層に関する質問で27%と最大の増加を示していますが、これは講義で詳しく説明されたからです。次は2番です。2番は視聴前スコアが3.17と低いですが、視聴後スコアが22%増加しています。地層と化石に関する理解が、地球は若いという考えを受け入れるようになったのかもしれません。
4)1番と2番は質問の内容がよく似ていますが、緑字で示すように視聴前スコアが、4.173.17と1ポイントの差があります。つまり、天地万物が6日間で創造されたことを受け入れたとしても、地球が若いことを受け入れるのは、難しいことがわかります。これは、創造の6日間の前に長い時代があったとする、間隙説の影響を受けているのかもしれません。
5)視聴後スコアが低かったもの青字で示しました。②地球の年齢、③罪によって入った死とは、⑦恐竜の時代についての3つです。点数が低いのは、講義で触れなかったことも原因として考えられます。得点が4点以下ということは、わからないと回答した人が多かったことを示しています。

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※ 編集後記 ※

私は、2012年8月、イ・ジェマン先生の「グランドキャニオン・創造科学ツアー」に、当時小学生だった長男と参加し、信仰が大きく変えられる体験をしました。この体験は、全てのクリスチャンに普遍化できるのか、ツアーに参加せずとも、講義ビデオを視聴することでも可能なのか、を知りたいと考え、今回の調査を企画しました。

イ・ジェマン先生の「グランドキャニオン創造科学ツアー」は来年の4月で最後となるようです。ご興味のある方は是非!

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もし行けなかったとしても、イ・ジェマン先生の下記著書は、超おすすめ!です。

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